第16話:入隊

鎮圧した建物に周囲の警備に当たっていた警察がぞろぞろと入り、敵は連行される。

ナナ「助かったわ、ありがとう。顧客も無事だった。」

ルーシー「任務よ、気にしないで。」

笑顔で返す。

レイが入り口から出てきた。

「Meltじゃなかったね…」

肩を落とし、ルーシーに話しかける。

ルーシー「画像で見た壁は酸の液体の能力で溶けたみたいね。レイ君、無事で良かったけど、危険な事をしたのよ、指示を無視し仲間に心配させる無茶な行動はあなただけでなくチーム全体を危険にさらすこともある。それだけは覚えといて。私も君を抑えられなかった。監督不行き届きね…」

怒るだけでなく、自分を責めたルーシーに

レイ「…ごめんなさい。」

落ち込むレイの頭をポンポンしながら

ルーシー「チームでの連携もジムで習うといいわ。」

レイは頷く。

ナナ「レイ君、強かったわね。見てたわよ。良かったらジャンヌ・ダルクに来ない?」

レイ「え?」

ルーシー「こらこら、早速スカウトしないの!」

ナナ「軍に所属してるんじゃないんでしょ?」

ルーシー「そうだけど…」

レイ「気持ちはうれしいんだけど…俺、決めたんです。WAZに入隊するの。俺なんかの為に怒り、心配してくれる人がたくさんいる。両親とアンディーのゆかりの軍だし、力になりたい。弟を見つけるにも一番近道な気がする。」

ナナ「そっか、いつでも辞めたくなったら言ってきてね。うちの姫も同年代の仲間には喜ぶと思うし。Meltの情報も入り次第共有するね。」

レイ「ありがとう。」

ルーシー「レイ君…」

ルーシーはレイの決意に喜びつつも、16歳の少年が軍に入るというこの時代を憎み、複雑な表情をしていた。

ルーシー「じゃ捕まえたウエポンズ連れて帰るわ。」

一緒に基地に戻ったレイはその足でロックに入隊の意思を伝えに行った。

ロック「わかった。上に報告上げておく。よろしくな、レイ=ジェンナー二等兵。」

新たに制服をもらい、それを着てみんなに挨拶に回る。

皆、歓迎してくれた。

ガイ「もう客人ではなく軍の仲間なんだ、明日からの訓練は厳しくさせてもらうよ。」

ルーシー「ふっー」

取調べを終えたルーシーが戻ってきた。

「あら、素敵じゃない。」

レイの軍服姿に褒める。

照れながらふと

レイ「今日捕まえたウエポンズは?」

ルーシー「地下の留置所よ。acidのエドガーだった。今日の件だけでなく余罪が沢山出てきたわ。」

レイ「ずっとそこにいるの?」

ルーシー「罪を犯し、危険な人格と判断された場合は軍のウエポンズ専用の監獄に送られる。独房で24時間カメラで監視される。能力を持ってない人より釈放は難しい。エドガーも刑が確定次第そこに送られるわ。」

レイ「そっか…」

ルーシー「歩く兵器だからね…」

レイ「兵器か…固有名詞だから仕方ないけど、ウエポンズって呼び名嫌だなぁ、俺らは誰かの道具じゃないし…」

ルーシー「そうね…私達は思ってる以上にウエポンズである自覚と信念を持って生きていかなければならない世の中なのかもしれないわ。」

ウエポンズであることは、羨ましがられる事も多いが、生き方に断固たる意思も必要だと感じるレイ。




  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る