第8話:怒り

ガイに連れられジムへ。

ジムの入り口が開くと、そこには沢山のトレーニング機材や医療用装置などが置かれただだっ広い部屋。

ガイ「ここでトレーニングや特殊能力の診断などを行うんだ。」

レイ「すごい設備ですね…」

ガイ「レイ君、まずここに座ってもらえるかい?」

ガイが機械がついた椅子に座るよう指示。

レイが座る。

ガイがレイの頭に機械を装着。

ガイ「心配しないで大丈夫、痛くないよ。」

といいながら、椅子の隣でPC操作。

ガイ「目を閉じて、力を抜いて…はい。次に巨人と戦った時の感覚覚えてるかな?あの時の力を出した感覚をもう一度思い出してほしいんだ。」

レイは試してみるものの、うまくできない。

ガイ「一度開放すると大なり小なり反応が出るんだけどね…」

ガイは首を傾げ、

ガイ「体を動かしてみようか。装置を外すから奥の部屋に入ってくれるかな。」

分厚いガラス張りの何もない部屋へ誘導する。

ガイは部屋の外からPCを触り、マイクでレイに話しかける。

「今からプロジェクションで訓練用に使われているシステムを起動させるよ。敵が出てくる。本物じゃないから、心おきなく倒してくれ。」

レイは頷く。

部屋が暗くなり、男が3人現れる。

レイは近い敵からハイキック、後ろ回し蹴り、腹への掌底と一瞬で三体倒す。

レイ「すごい。」

拳を見つめ、プロジェクションで現れた敵に感触があることに驚く。

ガイ「ほー、そこら辺の不良レベルじゃ瞬殺か…レベルを上げていくよ?」

レイ「はい。」

武装した軍人が4人現れた。

これもノーダメージで倒すレイ。

次は7人、その次は10人と倒していく。

ガイ「もともとの身体能力と武術だけでここまで…16歳が…」

とぼやき、

ガイ「レイ君、ヴァン曹長とやってみるかい?あくまで仮想ヴァン曹長だが。」

レイ「はい!」

目の前にヴァンが現れる。

レイが仕掛けるが躱され、ヴァンは距離を取る。

地面に手をやるヴァン。

トシローとの戦闘で見たヴァンの技を思い出してハッと後ろに飛ぶレイ。

しかし着地したレイの背後にいるヴァン。

レイの腕を掴み、土でレイの全身を覆う所で部屋が明るくなる。

ガイ「ゲームオーバー」

ヴァンが出てきてから15秒ほどだった。

ガイ「本物はもっと強いよ。」

唖然とするレイ。

レイ「可能かわからないんですけど…meltって出せます?」

ガイ「戦闘データはないが、人物くらいなら…」

レイ「お願いします。」

頷いたガイ、再び部屋が暗くなる。

ガイ「少し待ってくれ、Meltを作ってるから。」

少しの間目を閉じて待つレイ。

PCを操作しているガイの横に男が立ち、声をかける。

「ガイ、俺が相手になってもいいか?本物の人間の方がしっくりくるだろ。」

ガイ「ドイル。いいけど、ケガはさせないでくれよ、来たばかりの客人だ。」

ドイルはプロジェクションで体をMeltと映し出すため特殊な全身タイツを着出し、

「感触もさらに本物に近い設定にしたと坊やに伝えてくれ。」

と言い、レイのいる部屋へ。

ガイ「レイ君、準備できた、システムを変更して更にリアルな訓練設定にしたよ。では、開始する。」

目を開くと、前にMeltが立っている。

レイ「お前がMeltか!!!」

初めて見るMeltに瞬時に怒りが込み上げた。

レイの怒りにドイルはプレッシャーを感じ、特殊能力で体を硬化させる。

目の前からレイが消えたと思ったら、次の瞬間顔面へ渾身のパンチ。

ドイルは10メートル先の壁へ吹き飛び、壁にめり込む。

続けて腹へ追い打ちの飛び蹴り。

更に連打し、どんどん壁にめり込むドイル。

ドイルはレイの胸に張手し、レイは飛ばされる。

慌ててシステムを止めたガイだが、その時には壁にトンネルが出来ていた。

部屋が明るくなり、Meltは消え、めり込んだ壁のトンネルから黒タイツの男が出てくると、レイは我に返り、胸を抑えキョトンとしている。

タイツのマスクを取ったドイルが

「ドイル軍曹だ。すまん、どんなもんか試したくてプロジェクションでMeltになり変わったのだが、想定外の力に思わず反撃してしまった。」

ガイ「二人とも大丈夫?動きが早すぎて止めるのが遅くなってしまった。申し訳ない。」

レイは胸を押さえ、ドイルは顔に拳の跡がくっきり残っている。

それを見たガイは手を頭に当て、ため息交じりに

「二人とも医療室へ連れていくよ…」

ジムを出て、3人で医療室へ。

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