第4話:旅の始まり
‐回想‐ 葬儀前日
アンディーの眠る部屋の外にスミスを呼ぶレイ。
レイ「スミス、俺、ルイを探しに街を出るよ。ルイは絶対に生きてる。蛇の紋章…あんな飛行機持ってる組織だ。わざわざ医療器具まで持ってったんだ。簡単に殺すはずがない。葬儀は参列したかったけど、スミスの言う通りみんなが危険に晒されるのは嫌だ。」
スミス「…わかった。なぜルイが攫われたかわからぬが、被害者家族のお前にとる調書なんて事件解明の役には立たないだろう。こちらで作っておく。だが、16歳のお前が1人で大きな組織を見つけてどうする?お前のことじゃ玄関から殴り込みだろうが、無謀だぞ。せめて危険な状況になる前に連絡をくれ。」
無言で下を向くレイ。
首を上げ笑顔で
レイ「世話になったね、ありがとう。」
一時間後にはレイの姿はなかった。
16歳の少年は頭陀袋を背負ってバイクで走り出す。
生まれ育った小さな街からバイクで3時間、情報を得るため一番近くの都市を目指す。
途中、海沿いの商店で水とホットドックを買い、バイクに寄りかかりながら腕に付けた時計から3Dホログラムを投影して呟く。
レイ「それにしても蛇の紋章って何なんだ、ネットで調べてもそれらしきものが出てこない。ウエポンズを集める軍事企業じゃないのか?闇組織じゃ検索してもでてこないし…」
男「レイ君だよね?」
軍服を着た、見たこともない男に突然話しかけられ、首をかしげるレイ。
続けて男は、
「無事でよかった、WAZのヴァン曹長だ。探したよ。君は狙われている。軍で保護したい。」
WAZとはレイの住む地域を統治している連合軍で世界三大軍の一つ。
ヴァン「最近、近くにいるウエポンズを見つける能力を持ったウエポンズが出てきてね。Detectと呼ばれている。奴はその情報をいろいろな所に高値で売っている。まだ解放値は低く、探知エリアは狭いのだが、今後世界中のウエポンズがどこにいるのかわかってしまうかもしれない。たまたま近くにいた君が見つけられたようだ。」
レイ「それのせいでルイが…オッサンが…」
レイは歯を食いしばる。
ヴァンの話は続く
「3日前に軍に不正アクセスしようとしたハッカー集団を捕まえて色々吐かせたら、Detectのpcにもハッキングしたと。能力で見つけたウエポンズの情報を売ろうとしてたんだ。その時のデータから君にたどり着いたんだ。ハッキングされた事に気付いたDetectはpcを壊し消えたが…」
レイ「ウエポンズを狙う蛇の紋章の組織を知らない?弟が攫われたんだ。」
ヴァン「昨日君の家に襲撃した奴らだね?その時間のレーダーの記録で飛行機を追跡したんだが、突然現れ、突然消えた。組織の情報も軍の過去のデータを見たが、ヒットしないんだ。最近できた組織か、ずっと潜伏していた組織か…」
レイ「WAZですらわからない組織じゃ俺が調べたって見つからない…」
肩を落とすレイ。
ヴァン「でも、組織は不明でも、警察からあった情報の中に心当たりがある。門が溶けた写真があったが、あれができるウエポンズは多分…」
ヴァンを睨みつけて
レイ「ルイを拉致った奴を知ってるのか?」
ヴァンは下を向き
「多分、俺が5年間探してる奴だ。部下を3人も溶かされちまった。」
レイ「ごめん…」
ヴァン「Meltと呼ばれ、金稼ぎが目的で組織を転々とする流浪人だが、最近、ある地域で数回目撃情報があるんだ。今軍で追っている。」
ハッとヴァンが本題を思い出す。
ヴァン「長話している間も危ない。まずは安全な軍の基地に来てくれないか?あとはそこで話そう。」
レイ「ルイを一刻も早く助けたいから長居はしないけど、少しでも蛇の紋章の情報が入るなら行くよ。」
ヴァンは遠くを見ながら頷く。
ヴァン「すまなかった。君がどんな能力で、どれほど凶暴かわからなかったから包囲してたんだ。今解放したよ。」
レイ「警察の調書も読んだんでしょ?仕方ないよ。」
ヴァン「…では基地へ向かおう。乗っていたバイクはトラックに積むよ。」
レイ「うん。」
軍用車両7台がすぐに到着し、真ん中の車両の後部座席へヴァンとレイは座り、出発。
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