第3話:レイ
上昇した飛行機から家がだいぶ小さく見えるようになった頃、応援部隊が家に到着。
車を降りた皆が空を見上げるが、遠すぎる飛行機に銃を向ける事もせず、家の中へ走る。
大勢の制服を着た警察官の中に一人だけGパンにTシャツの少年がいる。
警察官「レイ、車にいろ!中へは俺らが安全か確認した後だ」
青い目の少年、レイだ。
レイ「ふざけんな、俺の家だ!!」
警察官に家の中へ入るのを止められるが振り払い、マシンガンで穴だらけの玄関から家の中へ。
真っ直ぐ2階を目指す。
階段から2階に上がるとそこに見えるはずのベッドがない。
「ルイ!!!」
レイが叫ぶ。
「アンディー!!」
1階からも叫び声が。
レイが急いで1階へ降りると血塗れのアンディーが瀕死の状態で倒れている。
警察官をかき分け、アンディーを抱きかかえる。
アンディー「油断した…まさかウエポンズがもう一人いるなんて思いもしなかった…1つの街を落とすのにも2人いるかって程の戦力なのに…」
レイ「ごめんオッサン、俺が頼んだばっかりに…」
アンディー「クソガキ、勘違いするな、お前に頼まれたから来たんじゃない。ルイが心配で来ただけだ。しかし…とうとう見つかってしまった。ウエポンズのお前が。ルイが連れて行かれたのも、お前と勘違いしたんじゃろ。」
レイにしか聞こえない小さな声で囁くと、レイは涙を浮かべ静かに聞いている。
アンディー「蛇の紋章じゃった」
レイ「??」
アンディー「ルイを連れて行った奴らの飛行機のマークじゃ。どーせ追いかけるんじゃろ?」
レイは頷く。
アンディー「これをお前に…」
ネックレスを引きちぎり、付いていた鍵をレイに渡す。
アンディー「大事に持っていてくれ」
アンディー「スミスはおるか?」
警察官の中から一人が前に出る。
スミス「相棒…」
アンディー「孫たちにじいちゃんは世界一のスーパーお巡りさんだったと伝えてくれぬか?」
スミス「言われなくてもだよ」
泣きながら答える。
アンディー「…みんな………ありがと…な………」
「アンディー!!!!」
その場にいた皆が大声で泣きながら叫んだ。
2日後、アンディーの葬儀が行われている。
レイの姿はない。
「あの野郎、さんざん世話になったあげく、葬式に参列もしないのか。」
レイに怒りを覚え、呟く警察官。
スミス「ちがう。レイは事件当日一晩中アンディーのそばにいたよ。ご両親亡き後、育ての親みたいなもんだったし…。見てて辛かったよ、泣きながらご遺族に謝罪して…自分のせいだと背負いこんでる。ご遺族もアンディーが息子のように可愛がっていたのも知っているし、レイのせいではないと言っていたが。狙われた家に住んでる子だ、また狙われるとレイはもちろん、参列者も危険だから葬儀は来ない方がいいと俺が言ったんだ。悔しそうだったが…」
それを聞いて黙る警察官。
スミス「レイはよく問題を起こす子だ。一昨日だって街のギャングが薬を捌いているのをたまたま見つけるなり飛び掛かり、集まってきた仲間含め12人を叩きのめす…
通報を受けたアンディーが止めに行き、ゲンコツをくらい引きずられながらパトカーに乗せられ警察署へ。事情聴取を受けている最中にあの事件だ。寝たきりの弟の様子を見に行く様頼まれたアンディーは…。警察官の俺が言うのもなんだが、幾度となく警察の世話になってきたレイだが彼の中には彼なりの正義がある。やりすぎはともかく、彼のしてきた事で1度たりとも失望したことはない。」
頷く警察官。
警察官「それにしてもいくら達人アンディーの武術を教わってたからって16歳の子が大の大人を12人も…ナイフや鉄パイプも持っていたというのに…それをたった一人素手で…」
アンディー以外はレイがウエポンズとは知らなかった。
危険が増えるだけだからと口止めされ、能力の使用も禁止されていた。
空を見上げてつぶやく。
スミス「…無事だといいが。」
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