ウェルカム・トゥ・ジ・ダンジョン

「いってきまーす!」「いってらっしゃーい」





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「ただいまー」「おかえりー」





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「いってくまー」「いってらー」





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「ただいまー」「おかえりー」





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「最近さぁ、優人は時間があったらすぐにギルド行ってるけど・・・何で?」


 近頃、優人は時間があればギルドに行っていることに疑問を持った父が優人に問うた。


「あーそれね、今ギルドでキャンペーンやっててさ、キャンペーン商品でほしいの見つかってね、それのために毎日行くことにしてんの」


「へぇ・・・、ちなみにその欲しいのって?」「特注のステルス迷彩服」


「ステルス迷彩ぃ?そんなんが良いの?」と疑問を口にする父を優人は無視し、家を飛び出し飛び去って行った。


「行っちゃったよ・・・」






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「本日をもってこの講習は終わりだ!この講習で覚えたことを生かせるように日々の鍛練を忘れるな!」「「「ハイ!大変お世話になりました!」」」」


「この講義を卒業と同時に貴様らはダンジョンへ入れる資格も得た!精々死なないようにすることだ!」


 ダンジョンへ入るにはギルドの免許証が必要であり、免許証を貰うには2通りある。1つ目がギルドが行う体力試験、筆記試験が必要で、それらをクリアしてもその後に行う面接で合格判定を貰いようやく免許証がもらえる。


 2つ目がこのように講習を最後まで受けることである。ただ講習といっても最低3年以上のものでなければいけない。ちなみに年齢制限がなく、この理由は身体面、精神面、知識面が訓練によりある程度使い物になるからというものであるが、実際の所はさっさとダンジョンに入れるようにして利益を出してもらいたいというギルド側の思惑のためであった。


 当然ながら国や団体が「年端もいかない子供が入れてしまう」等と抗議しているが、ギルドの力が強大であることに加え、国の収益にギルドがかなり大きく関わっているために、国も団体もそこまで大きな声で言えないのである。


 教官の「解散!」という言葉とともに3年も続く講習が終わりを告げ、その場で解散となり、元訓練生たちはそのまま続けて訓練する者、帰宅する者、ダンジョンへ行く者と様々であった。


(さてと、俺はっと・・・)その中で優人はギルドの受付へと向かうことにした。キャンペーンの品物の服と優秀者卒業記念品を受け取るためである。


(いやー、武器の方はともかくキャンペーンの方まで取れるとは思うとらんかったな)とキャンペーン品と記念品の銃を更衣室で装備しながらながらそんなことを考えていた。


「よーしこの調子で頑張るぞ!」そう意気込んでから、彼等はダンジョンに突っ込んでいった。


「それでは、怪我をしないように、そしてなるべく多く素材を入手して帰ってきてください」「あい」


 訓練場で卒業認定されダンジョン入場資格を得た彼は、さっそくダンジョンの入り口で入場の手続きをしてダンジョンへ入って行った。


 このダンジョンはもともとギルドのすぐ横にある公園だった。だが数十年前に突如空間が広がり、広がった空間内の特殊な魔力などにより木々が生い茂り、公園内にいた生物が変異し完全に異界化してしまった。


 そのためにこのダンジョンでは、かつて公園だった名残が辺りにちらほら見受けられる。


「すげーな・・・、これが元は公園だったんだよな・・・・」


 ダンジョン内に入り彼が目にしたものは、鬱蒼とした森であった。これが元は遊具にあふれる唯の大きめの公園であったとはとても信じられず、ただ絶句していた。


 しばらく入り口付近でリアリティショックに襲われて硬直していたが、ハッと思い出したかのように装備の確認や使い魔たちのポジションを確認していった。


「はーいじゃ、改めてポジションの確認ね」と使い魔たちのポジションについての確認を始めた。


「ジンベーは頭の上、オールは右肩、白玉は左肩、モぐドンは腹部ね。お前らわかったか?」


 わかったかという問いに使い魔たちは「わかった」と言う様に一声鳴いた。


「よーし、じゃあお前ら、初めてのダンジョンだ。とにかくなんか感じたら報告頼むぜ」


 ダンジョンに入ってから1時間ほど経過してからようやく入り口付近から移動をし始め、ダンジョン探索を開始した。


 探索をするといっても今日はお試しのようなもので、本格的な探索はまた後日にすると決めていた。なので今回はエリアの把握がメインであり、余裕があれば素材の採取をしようと計画していた。


「本当に鬱蒼としてんな、日差しが木々に阻まれてすっごい薄暗い。夜になったら今よりさらに危険になるな。初心者向けの所だからって油断してはいけない」と自分に戒めながら探索を続ける。


「にしても・・・、わかっちゃいたけど、至る所に生物がいるな、見つからんようにしなきゃ、ジンベー、ウサギ、ソナーはしっかりな」


 探索から十分程度、ついに彼は目視で生き物を発見した。その距離約100メートルほどの地点で一匹の獣が木の実を食い漁っていた。


(やべ!やべ!やべ!)彼は慌てて近くの木に身を隠す。


(動く的は何回も撃った、生き物の解体とかもしたことはある!要はそれの延長線上にあるものじゃないか!大丈夫大丈夫、平常心を保て、簡単だ・・・狙って撃つ、そして訓練でもやった解体だ・・・、簡単だ簡単だかんた)


 そう自分に言い聞かせ、木から少し顔をだし、件の獣を改めて眺めてみる。


 身長はおおよそ1メートルほど、緑色の肌をし、体のところどころにコブある。まるで出来の悪い人間の子供みたいだと彼は思った。しかも・・・


(クセェ!!!!なんだこの匂いは!!!)あの気色の悪い生物はゴブリンと呼ばれている魔物で、どんなダンジョンでも生まれてくる奇妙な生物である。ちなみにだが、魔物と普通の生物との定義はダンジョンで生まれたものが魔物という者がいれば魔法が使える動物が魔物という者もおり分類が非常に曖昧なのである。生物には魔力がほぼ存在するという要因が余計に説をこじらせているのかもしれない。


 ゴブリンはそんな魔物の中でも取り分け意味がわからない生物で、ダンジョンが出現するといつの間にかダンジョンに存在しているのである。


 動きが鈍く、攻撃方法も単調であるため初心者向けの魔物と言われているが、その爪や牙には雑菌が付着しているうえ、ゴブリンの断末魔には同種を呼び寄せる効果もあるらしく、それが原因で囲まれて命を落とす初心者が一定数出ているので油断はできないという評価がなされている。


 さて視点を優人に戻そう。彼は今必死に自分を落ち着かせようとしている。なぜなら一発で仕留めねば同種を呼び寄せられてしまうからである。


 初めての魔物の発見という衝撃により、完全に今日は探索がメインということが頭から吹き飛んでいた。


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