第14話
『シャチは非常に高い知性を持ち、群れでクジラを襲ったり、サメをひっくり返し内臓だけ食べたり、子供に狩りを教えるためにわざと獲物を逃がしたり、その他にも獲物を食べないで弄ぶなどといった残虐性もある。身体能力も高く6mほどジャンプしたり、尾の一撃で獲物を数mほど海上に打ち上げたり、60~70㎞のスピードで泳ぎ獲物を求め1日で100㎞も泳ぎ回ることもできる。その他にもエコーロケーョンという-----』
「シャチスゲー・・・」「キュー!」
海から帰ってきた次の日、さっそく彼はこの新しく仲間となったシャチ改めジンべーについて調べ始めた。もともとシャチがスゴイとは知っていたが、改めて調べてみてシャチという生物が持つ凄まじいポテンシャルに感嘆の声を出していた。
その感嘆の言葉にジンべーはご満悦の様子で頭の上でキュルキュルと喉を鳴らしていた。
いつもなら頭の上にはオールか白玉がいるのだが今は2匹とも床の上で目を回して伸びていた。
初めのころはオールが頭の上にいたのだが、ジンべーがよじ登ってオールを叩き落としてその場に居座り、上ってきたウサギも叩き落としてしまったのだ。
(これで完全にジンべーの位置が頭上ってことに決まったな・・・)「良し、調べ物はこんなもんでいいだろう。とっとと訓練所行くぞ」
そう言って、とっとと片づけて訓練所へ飛んで行った。
--------------------------
「今日は弾丸強化を重点的に鍛えていくぞ!」「ウゲッ!」
訓練場の使い魔訓練場から出てきて、少し射撃訓練でもしようかと考えながら使い魔訓練場での鍛錬について思いをはせた。
(やべぇな・・・、エコーロケーション便利すぎる。こりゃ生態系の頂点はれますわ)
使い魔訓練場では主にシャチの持つエコーロケーションについて試していた。
(ただ・・・・やたらめったにソナー使うわけにはいかんよな。隠密するにはできる限り特定されないソナーにしたいし・・・)とそんなことを考えながら訓練場のドアを開けると、教官が本日は弾丸強化を鍛えるといって思わず声が出してしまった。
「コラ貴様!いつまでそこで突っ立っているつもりだ!!聞いていたならさっさとはじめろ!!!」「アッハイ」
問答無用のその声に優人はハイとしか言えず、渋々的に向かって弾丸強化を施した銃弾を放った。
(畜生、なんでこうなった・・・、今日はジンべーとの鍛錬とちょっとした射撃訓練だけにしようってプランだったのに・・・、弾丸強化はまだそこまで精度が・・・)「きょ、教官!うまく強化をかけられません!」とそのように教官に助言を求めたが、教官からかけられた言葉は酷く短くシンプルだった。
「うまくできないだと?そんなもの回数をこなせ!何度もやれ!体に染み込ませろ!本当に必死にやっていればそんな口たたいてる暇などないわ!!!」「ヒエッ」
結局彼はそれから数時間は拘束されたのだった。
「キュー?」「トホホ・・・」
「いいか!貴様はそろそろ卒業だが!そんなもので私が加減をするなどとは考えたいことだな!」
耳元で怒鳴る教官に対し、優人は顔をしかめながらさらりと返す。
「当り前です、そうしてくれなければここに来た意味がないです」「ほう・・・」
そう言ってのけた優人に、教官は感心したようにいくらか頷き、それからまた怒鳴りだした。
「だったらキビキビやれい!」「耳元で叫ばないでくれます?」「キサマー!教官に口出しするカー!」「ヒエッ」
訓練は続く。それが突貫工事だとしても、だ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます