仄暗い海の底から
「うみだーーーー!!」「あーおー」「あっついねぇ」「全員で海に来るなんてはじめてねぇ」
熱い太陽照り付ける、ここは海。佐藤家は家族全員で海に来ていた。
「まったくもう・・・海についた途端、オールたちと一緒にどっかに飛んで行っちゃうなんて・・・これじゃ海に来た意味ないじゃないのよ」「ははは、まーいーじゃないか」
着いてすぐにどこかへ飛んで行ってしまった優人に対して小言を言う母に、まあ良いじゃないと父が言う。
「何が良いじゃないか、よ!何かあったらどうするつもりよ!」
そう、この場に優人はいない。何故かというと到着と同時に着替えもせずに海の方面へ家族の制止も振り切って飛んで行ってしまったからである。
では今優人はどうしているのかというと・・・
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「うーみーはーひろいーなーおおーきーいーなぁー・・・」「ホー!」「モグー!」
彼は今海の上をのんびりと飛んでいた。
目的という目的は特になく、しいて言えば、水中用の使い魔の候補を見つけられればいいかなぁなどと考えてはいるのだが、基本的な目的は映像であるような海上スレスレを飛んでみたい、というものくらいであった。
「・・・・・・・・!」(汗)ブルブルブル
そんなことをボケーっと考えていると頭の上の白玉がものすごい勢いで震えていることに気が付いた。
「なんだお前・・・、怖いか・・・」「・・・・・・・!」(汗)ブンブンブン
優人からの問いかけに「そうだそうだ」と肯定するように頭を激しく縦に振る。
「なんだお前情けないな、モグドンとオール見てみろ、全然動じてないぞ」
そんな様子のウサギに対し、フクロウとモグラを見てみろとのたまう主、そう言われて怒ったのか、激しく頭部をぺしぺしとたたき始めるウサギ。
そんなのんびりとした空気で海を飛んでいると、どこからか悲痛な鳴き声と血の香りが漂ってきた。
「この声・・・なんだ・・・」「・・・・・?」(汗)フガフガ「モグー?」フガフガ
鳴き声と臭いの元の方角を探すように優人とモグドンは鼻をフガフガならし探ろうとし、ウサギは鼻と耳を駆使し、元を探ろうとした。
さして時間を立てずに臭いと鳴き声のもとがいる場所を探り当て、オールに全速力でそのにおいのもとへ向かわせた。
そしてとうとう臭いの元にたどり着いた。そこにいたものとは・・・
「クアー・・・クアー・・・」「んなっ!」
そこにいたのは傷ついた1匹のシャチだった。
「なんじゃぁこの傷は・・・」「・・・・・・・!」(汗)「モグー!」「ホッ!」
「キュー・・・キュー・・・」「・・・・・・・」
このシャチの傷や匂いから、どうやら同種につけられた傷のようだ。はみ出し者はどこにでもいるようだ。
この傷ではもう長くなさそうだ。もうじき死ぬ。
彼は・・・優人には回復魔法は使えない・・・そうなるとこの傷ついたシャチを救う方法は1つしかない・・・
「えーい!おい、お前!悪く思うなよ!恨みたきゃお前をそうした奴らを恨めよな!」
そう言うや否や彼は魔力を両の掌に集め・・・・・・
ウラー! キュッ!?
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「・・・・・・・・・」ペシペシ「」「」「わー!くろいおさかな!」「なー!」
ウサギやモグラなら分からんでもない。、裏山とかにいるからな、フクロウなら前々から報告されていたからまだよかった。だが今回は・・・・・・・・
夕方になり優人が戻ってきたら帰ろうと、皆で相談しているときに優人が戻ってきた。父とその娘たちは戻ってきた優人にお帰りと言い、母は小言を言おうとし近づいて行ったときにあるデジャブに襲われた。
そう、大体この感覚があるときは・・・と思い優人を見てみるとすぐに分かった。
頭の上にいるのがフクロウでもウサギでもない。黒くて魚のようなものが上に乗っていた。
それが何かわかり絶句している母にどうしたのか、と思い母の目線にあるものを見て父も絶句した。
「」「」
そんな様子を気にも留めずに、愛美は優人の頭上に乗っているものについて尋ねた。
「それなにー?」
愛美にそう尋ねられ、「こいつか?こいつはシャチの・・・」と言ってから口を閉じ、少し間を開けてから改めて彼女の名を告げる。
「こいつはな・・・シャチのジンベー、ジンベーだ」「キュー!」
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