すごいぞうさぎさん
「どーしましょ!どーしましょ!やべーよやべーよなんも考えてなかったYO!えーとえーと!うぉおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお」
「!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」(汗)
閑話休題
「能力…、能力ねぇ…」
「……」グッタリ
あらかた叫び終えて落ち着いたようで、ずいぶん冷静に「能力」について考えられるようになっていた。
「グググ…、能力………うーん」
そのようにうんうん唸って考えること約10分ほどが経過したときに、ある一つの考えを閃いた。
それはとある漫画の設定のことで、動物などの持つ特殊な技能が使えるようになった少年たちが悪と戦うという漫画であった。
(そうか、火を吹けるようになるとか、空を飛べるとかそういう能力とかじゃなくて、その動物がもともと持っているものでも良いのか…そうかそうか)
そのように考えれば、先ほどまで何も思い浮かばなかったのが嘘のように、考えが次々浮かんでくる。
(ならウサギの能力は……ウサギの特徴……聴覚がすごい発達していること……お!これいけるやん!よっしゃ!じゃぁさっそくやってみよ。善は急げ、思い立ったが吉日だゼ!)
そう考えながら、さっそく準備に移る。
「はよせんと母さんが外の井戸端会議から帰ってきてしまうからな!」
そう意気込んでから早速耳に力を集中させていく…。
そのように力を1分ほど集中させていくと、次第に聞こえてくる音がだんだん大きくなってくる。
「おっお、お~!すげーな!なんかいろいろ聞こえてくるぞ!」
『うちの子は最近新しく使い魔にしたウサギにもう夢中なんですよ~。』
『あら、確かお子さんの優人くんは3歳でしたよね?もう使い魔ができてるなんて、出来が良いんですね~。』
(おー、すげー!外の話が鮮明に聞こえる!こりゃすごい!)とはしゃいでいたのだが、すぐに「うん?」と異変に気付く。
「あれ?なんださっきよりも声が大きくなってないか?え?気のせい…?」
もちろん気のせいでもなんでもなく、どんどん大きく、どんどん聞こえる範囲が広くなっていく。
「が、がば…、がばばばばば!?」(ぬぉおおおおおおお!なんだ!なんだ!なんだ!なん)
瞬間、莫大な音と情報が彼の小さな耳と矮小な脳みそに洪水のごとく飛び込んできた!
『プップー!』『今日の授業壊滅的につまんなかったな!』『コラー!そこの若者!何してるんじゃぁ!』『トットイレ貸してください…!』『お、おまえ…!やっぱり不倫していたんじゃないか!』『誤解よ!彼はそんな人じゃ…、あっ待って!その人は…』『この野郎ぶっ殺してやる!』『今日のニュース見ましたか?』『ええ、見ましたよ。物騒ですねぇ』『ママぁ~、だっこしてぇ~』
『――――――!――――――?』『―――――。――――。』『~~~~~~~!』
「」
彼は失神してぶっ倒れた。
「……!」(汗)
後先考えずに行き当たりばったりで事を起こすからそうなるのである。
彼の目が覚めたのは母が夕食を作るためにコンロの火を入れた瞬間であった。
霞む瞳で窓を見ると、もう夕焼けが見える時間帯になっていた。どうやら母は彼が昼寝していると誤認しそのままリビングに彼を放置していたようだ。
「グググ…」(あったま痛てぇ…、耳もジンジンする…)
(だが収穫はあった!このまま少しずつできることを増やしていこう!)「よっし「あっゆう起きたの。まったくもう、いくら夏だからっておなか出してお昼寝はダメだよ!」
「アッハイ」
ようやく彼は一歩目を踏み出せたのでった……。
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