仁–第四夜:久々
「いただきます」
手を合わせてそう言った。
すると何気に気配を感じていた方から編みがさかぶりの男が近づいて小声で
「座っていいか」
と聞いた。
「お向かいならどうぞ」
とぶっきらぼうに答えた。
男は向かいの席に座りいきなり前のめりになって聞こうとした。
向かいに座った意味が無いんじゃねぇの?
そう言い、周りの目を気にして隣に座らせた。
「壬生寺の桜に依頼の文を出したら、内容によってその依頼を受けてくる用心棒がいるらしいな」
あ、“用心棒(俺)”の事か。
「あぁ名を“辰”と言うらしい。壬生寺ならばこの店を出て右に進み小川に添って暫く歩く。そして白壁に藍色と黒を混ぜたような瓦の塀に添って1つ行けばなんかの屯所か寺に着く」
そう言うと茶漬けを少し掻き込み聞いた。
内心驚いた。辺りを見回してまで周囲の目を気にするということは…
「困り事か?」
何気なく聞いてみた。
ポロッ…
動揺したのかいつの間に頼んでいたらしく、食べていた握り飯を思わず落としていた。
パシッ‼
箸を左手に持ち替え、右手でその握り飯を受け止める。
「もったいない。後、図星なんだな」
そう言い握り飯を渡すと
「…あぁ。かたじけない」
そう言い、握り飯を受けて取った。
…よっしゃ久々の依頼だ!
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