仁–第参夜:朝餉

ーーーーーーーーーーーー


「ーっくしゅ‼」

小さな食堂でくしゃみをしたのは正真正銘の“用心棒”だ。昨夜の血はきちんと止まった。


「(風邪か…?まぁ良いか)

…かみさん‼茶漬け1つ‼」

「あいよ‼」


そう威勢の良い返事を聞き、外を見た。

誰かが尾行している。

数は1人。


「お待ちどうさん‼茶漬けだよ!」

女将さんが盆に乗せた中ぐらいの器をドンと机に置いた。


器には中盛りの麦飯と細く切った海苔,あられ,小皿には細かく刻まれた漬物が乗せてある。

近くには茶瓶に入った温かい茶があった。


ぐぅ~…朝のざわめきで掻き消えたがとりあえず腹が減っては戦は出来ぬ。

食べることにした。


「いただきます」


手を合わせてそう言い、麦飯に漬物の半分、あられ、刻み海苔の順に乗せ、茶を少し掛けて混ぜた。茶漬けはこうするに限る。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る