第28話お中の中は天国
24-028
しばらくして悪阻も治まった香里は普通に戻って、食欲も旺盛に成って元気が戻っていた。
そうなるとこの夫婦、また仲良く楽しむ、お風呂に一緒に入ると必ず泊が香里の身体を洗って、その先はラブラブ状態に成って、勝弘が仰天して目を廻す事が多く成る。
夏に成って暑いのに、仲が良いのも考えものだと呆れる勝弘が、ある朝目覚めると(あっ、見える)と口走って、うっすらとお腹の外が衣服を通して見えたのだ。
これは勝弘にとって楽しみが出来て、香里が外に行く様に(出よう、空気が吸いたい、綺麗な空気)と訴えると「避暑地に行きたいわ、高原の綺麗な空気が吸いたい」と泊に話す。
「夏の休暇に、ドライブで行くか?何処が良い?」と早速探してくる泊。
「小菅と一緒に行くか?」
「お腹の大きな妊婦が二人は変じゃない?」
(行きたい、行きたい、叔母さんが必ず凜香さんのお腹に居る)と訴えると「そうね、一緒に行きましょう」と変わってしまうのだ。
小菅に早速連絡する泊、小菅は大山に行きましょうと即決してしまう。
この頃美千代も同じく外の景色が少し見える様に成っていたから、何処かに行きたい気持ちが大きく成って、香里のお腹に釜江さんが居るのでは?と考え始めていた。
外は見えるが、お腹の中は見えないだろう?何故?衣服を通して見えるのかも不思議だったのに、まさかお腹の中の釜江が見える事は考えられなかった。
(この二人は外が見える時期だよね)
(私の能力の見せ所ですね、他の赤ん坊は見えないが、この二人はお互いに話せるし、見えるのですよ)
(驚くだろうな!)
(まだ、ようやく見え始めた時期だから、日に日にはっきりと見えて、会いたがるよな)
(対決まではお互い色々話をさせる方が面白いでしょう)
(楽しみだね)と画老童子と安芸津童子は予備知識をどれ程二人が蓄えて、産まれるか?それが忘れるまでにどの様な行動をするのかが興味が有るのだ。
この悪戯を天使様が見ている事も知らずに、人間を弄ぶ二人の神様なのだ。
七月の下旬に四人で大山にドライブが決まって、久しぶりに会った香里と凜香。
だが二人のお腹の子供は眠っていて、特に勝弘は朝から二人が愛し合ったので、お疲れモード(本当に好きだな、この二人、おいおい今朝は宙返りか?駄目だ、目が廻る)
「お腹が大きく成ったから、これが楽でしょう?」
「そうね、これなら良いわね」と洋と香里は早朝から楽しんだ。
その影響で熟睡状態、目の前に凜香が来て美千代が見えて話が出来るのに、お互いが気付かない。
凜香も午前中妊婦の体操から、プールでの安産に向けての運動のレッスンを受けて、久々の水泳気分を味わった美千代は今熟睡時間に成っていた。
「お母さん、最近ね!子供動くのが判るのよ、それからもうひとつ女の子だったわ」
「そう、もう判ったの?私はね主人が一杯名前考えているから、まだ調べない事にしているのよ、唯、悪阻が強かったから男の子だと思うけれどね」と微笑む香里。
「お母さん、若返った様だわね、幸せ?」
「そうね、凜香のお父さんとは比べられない程相性が良いのよね、最高なのよ」と微笑む香里の顔を見て「何の相性?」
「へへへ、決まっているでしょう」と笑う香里に「気持ちの悪いお母さんだ」と意味が理解出来た凜香が呆気にとられていた。
「来週の土曜日、朝八時に迎えに行くからね、準備して待って居てよ」
「はい、はい、大山楽しみにしているのよ、遅れませんよ」凜香が今日会ったのは、子供の性別を香里に教えるのが目的だった様だ。
昼ご飯を食べて、世間話で一時を過ごして、帰り際に美千代が目覚めて(よく寝たわ)と外を眺めると香里の後ろ姿(釜江さん!)と呼ぶ美千代。
(誰か呼んだか?)と目覚める勝弘(叔母さんの声が聞こえた様な)と外を見るが既に凜香は離れて、勝弘の目には見えない美千代の姿だった。
土曜日二人の驚きの瞬間が訪れた。
ワンボックスの車に、凜香の予想通り遅れて乗り込んで来た二人「ごめんなさい、休みの日の朝は起きないのよ」と今起きましたと云う様な髪で急いで乗り込んで来た香里。
休みの朝は必ず楽しんでからもう一眠りをするから、遅く成っていた。
香里のお腹を見て(見える!)と叫ぶ美千代、小さな胎児の姿が克明に見る事が出来たが、眠っているのか?動かない。
美千代にはその胎児が勝弘だとの確認は出来ないが、今まで病院でお腹の大きい人は沢山見たが、お腹の中が見えたのは初めての出来事だから、間違い無いと確信していた。
座席が離れてしまって、もう見えない状態で車が発車した。
車に揺られると二人は気持ちが良くなって、直ぐに眠りに入ってしまう。
サービスエリアのトイレ休憩で、急に寒く成って目覚める勝弘と美千代(寒いわ、眠っていたのに)と美千代が言うと同じく勝弘も飛び起きて(寒いよ、トイレ、トイレ)と言うと小便を流す、香里のお腹の中で統べての事が行われて、綺麗に成っていくから、便利そのものだ。
冷暖房完備の寝床が母親の胎内だと、二人共安住の気持ちの良さだった。
勝弘には時々起こるジェットコースーターの時以外は、こんな良い場所は他に無いと思っていた。
過去自分が前の母親の胎内に居た時を思い出そうとするが、全く記憶には無かった。
今回は鮮明に覚えているから、美千代に会ったら話してみたいと考えている。
トイレから出て(あっ、見える)とお互いが叫んでいた。
(叔母さん!)
(釜江さん)とお互いが同時に言うと、お互い言葉が聞こえるので(聞こえるよ)
(私も、良く聞こえるわ)
(叔母さん、若い娘のお腹に宿っていたのか?)
(近い場所だったわね、見えなくても話せるのかな?)
(判らないけれど、これは便利だな、誰も話し相手が居ないから、寝て、食べてで、暮らして居たよ)
(私も殆ど眠っていたわね)
(神様には?)
(生まれ変わってからは一度も会ってないわ)
(そうか?俺も会ってないし、呼んでも現れないな)
(私達、親戚だわね、私のお母さんの弟に成るのだね)
(叔母さんは俺の姪っ子か?)
(でもこれからは、楽しそうだわね)
(新しい家を建てて貰っているらしいな?)
(お爺さんお金持ちだからね、今度は良い生活が出来そうだわ)
(俺は刑事の息子だな)と久々に会った二人の楽しい会話が延々と続いていた。
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