いつだかきっと私は言った、「うち、東京行くんさぁ。」
(いつにもまして、まとまりに欠けます。多少個人的です。まさしく日記、という感じ。)
久しく、日記を書いていなかった気がします。そう思って自分の日記を見返したら、なんだ、前回も、おんなじようなこと書いている。9月27日の、「ゆるゆるな近況報告。」出だしはこうだ、「そういえば最近、日記を書いていない。そう気がついたので、書くことにする。」変わってないなぁ、相変わらずだ。やることが一緒。まあだからこそ、私、なのかもしれないけれど。
ってことは10月はずっと、原液シリーズと会話シリーズばっかり、やってたわけだ。しかしこれが、どちらもなかなかどうしてたのしい。原液の編集も会話の書き起こしも、わりと夢中になってやってしまった。かたちになるというのは、なんだってうれしい。
どうして日記を書かなかったかというと、もちろん受験勉強のこともあるけれど、小説を書いていたからっていうのがいちばん大きい。10月中に書き上げなければいけないものだったのだけれど、どうにかこうにか書き上げました。飴のお話です。短編です。もし読んでやっても良いってかたがいらっしゃいましたら、喜んで送ります。メッセかなにかで連絡ください。
季節の、変わりめだ。秋から冬へ。
季節の変わりめというのは、いつもいろいろなことを思い出す。5歳の私8歳の私13歳の私15歳の私、それぞれ環境も考えかたもずいぶんと違っているはずなのに、なぜだかいつだって、身体に染み込む空気はおんなじ。しんとして、すがすがしくて、それなのにちょっとだけ埃っぽい、ちらちら輝く灰色みたいな空気。ふと空を見あげて、あ、冬がくるんだ、私はきっと、毎年そう思っている。夏には決して、思い出さない記憶。
だから季節の変わりめは、心がしずかになる。5歳の私と8歳の私と13歳の私と15歳の私、そして今の私の瞳は、いっしょになっておんなじ場所を見つめる。そのとき私は、時間というものの幸福とせつなさを噛み締める。私は今あそこにいないのに、ここに今私はいる。
狭間のような時間なんです、季節の変わりめというのは。ふと落っこちてしまうところ。
しかし私は、高校に入ってからのできごとを、こうした気もちでしみじみと、思い返したことがない。
それはきっと、高校というのは私にとって「今」だから。今このときは、高校一年の時間の延長線上に存在している。
分かれめは、確か2008年の3月24日。私はこの日、群馬から東京に越してきた。つまりこの日から、私の「今」は、新しい章は始まった。群馬と、東京。このふたつの場所は、私のなかでくっきりとしたコントラストを描いている。
だって群馬での生活と東京での生活は、あまりにも違う。だから致しかたない、のだ。たまにあの、観音さまがいつでも見ているあの街に、心が帰ってしまったって仕方ないのだ。そして、それなのに結局のところ、ぜったいに帰る気がないのだって、仕方ないのだ。だって、違うんだもの。時の流れが違うのだ、章が違うのだ、極端に言ってしまえば、すべてが違うのだ。たまにさ迷うくらい、良いでしょう? 私はそうしてさ迷いつづけるのだ、きっと。でもそれは決して絶望的なことではない。心の、帰着点が、あるということは。
3月24日以前の、最後の記憶。
それは○○さんたちに、見送ってもらったことだ。しずかな見送りだった。手紙をもらった。ちょっとだけ喋った。いつも通りだった。あかるかった。ぼんやりと春めいていた。いつも通りだった、まったくなにもかもがいつも通り。しずかだった。曖昧に微笑んだことを、すごくよくおぼえている。
ああ、私は、去るんだな。
どうしようもなくそう思ったことを、おぼえている。
そしてその翌日から、私は東京の人となったのだ。
たかが引越しで感傷めいている、と言われてしまうだろうか。
しかし。しかし「東京」というのは、それほどまでに「遠い」場所なのだ。夢を求めて飛び出してゆく、場所。極端に言ってしまえば夢の地だ。私のなかにそういった、浮っついた気もちがなかったなんて言い切れるだろうか? 東京。それは、ほんとに、遠かった。
◯◯さんはこんなようなことを言っていた、「東京の空って狭い。きっと色んな人の想いで狭いんだ」
群馬の空はだだっ広くて、いつだって星座がまたたいている。いっそ絶望的なくらいに。
でも私は東京に馴染まない。好きだけれども慣れたけれども、きっと馴染むことはない。そしてそのことは、私をくすぐったい気もちにさせる。
中学校の卒業式のあと、◯◯さんたちと電車で行った東京が、この東京といっしょだなんて、なんだか不思議ですね。あのどこか気だるい帰り道の雰囲気、今でもくっきりおぼえている。
東京にきたことは、良かったと思っています。それは、ほんとうに。心の底から、私は今このときが、東京で過ごす今このときが大事です。
でも思わずには、いられないんです。なぜだか。囚われてるって思われたって、それでも。
ふたつの場所をもつということは、こんなにも、いとしいことなんだなぁと、いまだに思う。感傷かなぁ、やっぱり。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます