沈黙は、ほんとうに金ですか。
沈黙は誠実だ、と思っていたときがありました。
黙して語らず。「好きすぎて話せない」「思ってることが言い尽くせない」、なんて言葉でそっとそのテーマを置いておく。
しかし、あるとき思いました。
それって不誠実じゃないかなぁ、と。
何も意見を言わない、両立の立場を保つ、というのは、一見すると賢明なように思えます。だって誰の敵にもならないから、誰とも戦わないで済む。
しかしそのかわり、何も言わないってことは誰の味方にもなれないんですね。というか、なる気がない。
あるひとつのものごと、思想でも人でも概念でも、を一心に味方し貫くというのは、容易なことじゃないです。ぜったいに、攻撃される。嘲笑されることも、軽蔑されることも、嫌悪されることも、ぜったいにある。
そして、ひとつのものごとを貫く、というのは、他者にもその態度を示す、ということです。それが私の思う、「戦う」ということです。ひとりで思ってたって、それは自己完結にすぎません。
言わなきゃ何も伝わらないんです。何を思っていることも、何に味方をしたいということも。言わないことを、理由にしないで。「自分はあまりに深く考えているから何も言えないんだ。言わない自分は誠実だ」なんて、そんなこと、あるわけないじゃないか。馬鹿にするのも大概にしてほしい。なぜ表現する努力をしないで、何か努力をした気になっているのか。
思想のために武器を手にとれないのならば、誠実も何もありません。誠実さというのはきっと、戦って初めて得られるものです。
戦えばいいってもんじゃないのは確かです。しかし、何と戦ってもないのに戦った気になるのは、愚かだと思いました。
何も言わずに他人がわかってくれるなんて、間違っていると思います。理解は戦って勝ち取るものだと思います。
理解が欲しいのなら、無理やりにでも捻じ伏せなくっちゃ。そしてそれは、決して悪いことではないと思います。だってそうじゃなきゃ、意見なんて何も伝わらない。全力でいかなきゃ、きれいな火花は散らないんです。
しかしこれは多分に、がんがんと鍛えられた影響がありますよねー。
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