手芸がしたい。
憧れるけれどできないもの、のひとつに、手芸があります。
前にも書いた通り、私は可愛いものが好きです。ぽわぽわふわふわしている雰囲気のが、とくに。
手芸屋さんなんて、もうツボです。きらきらしたビーズに、もこもこしたフェルトに、瀟洒な模様の布。青い蝶々の飾りなんか、くらくらときました。
ああ、こういうものを、つくってみたい。
何度も思ったことがあります。
私の不器用は根深いです。あまりにもひどいので、ここに書けないくらいに不器用です。
でも手芸屋さんが大好きな私。小学五年生になったときに、決心しました。
手芸部に入ろう、と。可愛いものをいっぱいつくってやろう、と。
そして手芸部に入部した私は、いろいろとやりました。
最初は友達に倣い、ビーズを始めました。でも、これがだめ。ややこしくってわかんない。テグス切るのも面倒くさい、というかまず長さが測れない。
次はフェルトのぬいぐるみです。これもだめでした。のりがべとべとくっついて、何ていうかもはやグロテスク。
その次は編みもの。棒のつかいかたが理解できなくてだめでした。
そんなこんなで、なんと一年が経ってしまったのでした。私は懲りずに、六年になっても手芸部をつづけました。
行きついたところは、手編みです。友達やら先生やらが辛抱づよく教えてくれて、これは辛うじて成功しました。自分にもできる手芸がある、と感動すらしました。私はどうにかこうにかマフラーを編みあげ、悦にひたったものです。
しかし。
よく考えると、べつにマフラーが欲しいわけではなかったのでした。マフラーなら、お店のもののほうが可愛いと小学生の私は思いました。
私が欲しかったのは、ビーズのストラップだとか、パッチワークのポーチだとか、テディベアだとか、そういうものです。マフラーやセーターじゃありません。何だか私はがっかりしてしまって、手編みもそれきりで止めてしまいました。
そんなこんなで、私は小学校を卒業してしまったのでした。
一回だけ、うまくいったの。中学校のとき、部活の顧問の先生が転勤してしまうということで、友人たちとテディベアをつくったんです。すっごい手伝ってもらった気がするんですけれど、一応はくまになった記憶があります。あれは今でも、先生の家にあるのだろうか。
今日、ふらっと手芸屋に立ち寄りました。ずいぶん久しぶりに。やっぱりいいなあ、と、色いろ眺めていました。
割引になっていたビーズのセットを、買ってみました。うさぎのストラップがつくれるそうです。
家に帰って、やってみました。30分。一工程も進まず。やっぱりなあ、なんだかなあ、と私はビーズをしまいました。
きっと私の、片想いなんですね。
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