蓼食う虫も好きずき。

 人はグロテスクであるくらいのほうが、魅力をもつと思います。

 毒気のなく、「平凡」であることに徹してきた人。そういった人は、不快感をもたれることはすくないでしょう。だから嫌われることもそうそうないでしょう。でもそのかわりに、強烈に好かれたり、崇拝されたりすることもきっとないでしょう。さらさらとした、爽やかな世界。そこにあるのは優しい無関心。

 毒をたっぷりともっている人は、人から興味をもたれることが多いと思います。その興味の名が、好意であれ、尊敬であれ、嫌悪であれ。臭気に人は鼻を覆えません。狂気から目を背けることができません。徹底的に自分の世界に取り入れるか、徹底的に排除するか、どちらかではないでしょうか。



 自身の毒を突き詰め煮詰め、グロテスクな部分を極めていきたいです。私の場合は、小説でそれを行い表現しています。

 人から目を背けられるくらいになったら、私はきっと微笑することができます。




追記

 林真理子の、『ルンルンを買っておうちに帰ろう』より。林真理子が若いころに言い放った台詞です。

「私が人に好かれるのは、私が何も持っていないからじゃありません?」

 その後、林真理子は「憎まれたい」と思うようになったそうです。

 すごくわかります。

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