映画を観るために。

映画を家で観ることができません。

15分くらいしか集中力がもたないからです。幼児並みの集中力です。30分アニメすら見れやしない。


私の感覚機能は二つ以上のことを同時に処理するのが苦手らしいです。

例えばメールを打ちながら音楽を流すと音楽が聞こえません。本を読みながら何かを食べると味がわかりません。どちらか一方を理解しようとすると、どちらかがふっと消えてしまう、もしくは理解不能なものになります。

だからでしょうか、映画を観ると頭のなかが大変なことになります。映像と音、ということで、視覚と聴覚をつかうからだと思います。映像に集中すれば音が聞こえない、音に集中すれば映像がよくわからなくなる、話は私のペースと関係なく進んでいく、大混乱です。それに人物の顔も覚えられない。

映画はリラックスして楽しむことのできる娯楽だ、と言う人がいますが、私には不思議です。あんなに脳をつかうものもないです。観るときは、よし観るぞ、と意気込まねばなりません。しかも大体、家で観るときは15分から30分単位で休憩を入れます。神経と時間をつかいます。そういうわけで、私は家でほとんど映画を見ません。


でも、映画って良いものが多いと聞くんですよね。

話を聞くと、確かに面白そうなものが沢山あります。それにこんなに普及してる媒体だもの、きっと魅力があるんだろうなあ。観たい。でも、観れない。長年それが私のジレンマでした。

そこで、工夫をしてみました。

映画の音声だけを抽出して、静かな部屋で聴くのです。


これが効きました。

今までは、ちかちかとしているのをただ見ているうちに終わってしまった映画が、立体感とストーリーをもって浮かびあがってきました。

話がわかることわかること。キャラクターの個性も、声の響きも、すんなりと入っていきます。映像があるより、よっぽどわかりやすいし面白い!


私も映画を観る、もとい聴くことができそうです。めでたしめでたし。



ちなみに、冒頭に「映画を家で観ることができません」と書きましたが、これは映画館では結構楽しむことができるからです。私にとっても謎です。家では映画以外の情報(テレビの外がわの壁が目につくとか、いろいろ雑音があるとか、カーペットの手ざわりとか)が豊富だから、もしくは家が静かなため、ちょっとしたことにも感覚過敏になっているのかもしれないと、自分では思っています。映画館は映像と音のインパクトがつよいため、それ以外の情報は大抵の場合ほとんど入ってこないですし、映画館は映画を観るための場所なため、観やすい環境になっているのかなあと思います。ポップコーンを食べながら観ることだってできますし。不思議。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る