『イエスの生涯』の感想。
遠藤周作の作品です。幼いころに洗礼を受けた著者が、長年かけて見出だしたイエス像。イエスの生涯を追うかたちで、それが描かれます。
この作品においてのイエスは、無力で、そして愛を知っています。ユダヤの神は父なる神です。人々を罰し怒り猛る、父のような神です。しかしイエスは、神の姿をそうは捉えなかった。神は愛に溢れ、悲しみを知る、母のような存在だとイエスは思いました。
人々は、実利のみを求めます。愛じゃお腹は膨れない、ということでしょう。イエスは人々に愛を説きます。パンだけを求める人々に。そして、それゆえにイエスは苛酷な運命を遂げます。
かずかずの誤解や裏切りのなかで、ただ愛を大切にし続けたイエスが、ここにいます。
読んでいて、イエスの面もちが浮かびました。愛を考え、広める姿が。
ユダや群集の言う通り、愛は実際なにも生みだしません。
しかし、こんにちこれほどまでにキリスト教が広まった理由、それはやはり、ユダヤ教にはなかった概念、母なる神と隣人への愛にあるのではないでしょうか。
けっして、意味のないものではないのではないでしょうか。
それがどういった意味であれ。
キリスト教についてわかりやすく学べ、そして著者のもつイエス像について考えさせられました。
些細な事実でなく、真実を求める著者の姿勢には共感します。
考えを偏らせないために、今はキリスト教に批判的な本を読んでいます。
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