第115話 なかなか衝撃的な見た目になった

 菓子作りの後も数日かけて、フェリシアの能力テストは行われた。

 そして、何をやらせても上々の結果を叩き出している。


「彼女は特化型ではなく、汎用または万能タイプの天才ですね。私は回復くらいしかできないですから、正直羨ましいです。それに私より美人ですし」


 最後の呟きはゼノに届かなかったので、ああ、そうだなと返事をされて落ち込んだミラ。

 事実フェリシアのスタイルは、女性陣でも1番身長が高く足も長い。

 栄養不足だったので肉付きは良くなかったが、ここ最近の生活の変化により骨と皮だけの体から脱却し始めている。

 ミラの予想では、1流のファッションモデルのようなスタイルになると思っている。


 同時にフェリシア以外の共通認識には、彼女に外の美的感覚を養わせるというものがある。

 これはいずれネフラスカより出国し他国で活動するので、その時に下手な男に煽てられてテイクアウトされないようにするためだ。

 これは亜空間にあるファッション誌や学術書等を読ませて、写真と科学的・歴史的見解からアプローチしていく。


「だが、これまでの人生の悪影響だろう、誰かに頼る事はしないし、まだ連携の取り方すら下手だ」


 フェリシアは虐げられて生きてきたので、常に1人だった。

 魔物の討伐に誰かと連携する時ですら、回り込んだり囮になったりして、単身事に当たっていたのだから当然だ。


「それでも今後の期待はできそうな娘ではありませんか、ゼノ、しっかり首輪を着けておくのですよ」

「いやだから、ペット扱いは……」

(私も、ゼノさんにだったら首輪を着けられたいかも)


 ジュディスに対して、残りの3人で立ち向かい連携訓練をしている様を見ながら、ピンク髪の美少女は思考も少しピンクに染めていた。


 ◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆


 なんでもできちゃうジュディス、小人族で手先が器用なダイゴロー、汎用性の高いフェリシアが集まってゼノによる注文作品が完成された。


「これはここからネフラスカに出る時に着るデブ着ぐるみだ。フェリシアが見て美しい体形になるように膨らませつつ、砂漠の寒暖に対応した空調が内部に搭載されている。顔はゴーグルと布を巻けば誤魔化せるだろうから問題ないが、こちらもヘルメットを被り着ぐるみからチューブを通して、昼は冷風を送り込む仕様になっている」


 ネフラスカ用デブ着ぐるみを身に着けたミラとサリア。

 2人は説明を聞かされてから着ぐるみを着用し、体を動かし違和感がないかを調べている。

 そして何も問題がなかったので、ネフラスカに先行して情報を集めてくる役目を負って外に出る。

空中から出入口を開けて入ったので、ゼノがサンカイオーで地面に降り立ち、出入口の発生場所を変更してからだが。


 生産人形で生活魔法内部しか居られないラケルはともかく、製作者は他のメンバーの分も引き続き製作しなければならないし、ゼノを先行させるとまた何かのトラブルに巻き込まれると意見が一致、出禁ならぬ外出禁止がラケルより言い渡された。


「解せぬ」


心底不満そうにサンカイオーに乗り込むゼノだった。

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