第40話 8月17日 2000PV突破記念

 カティラミリア・ウェル・ヴェールトン。

 御年18歳。

 ゼノの住む街から、いくつか隣にある国の大公の非公式3女。

 父である大公が戯れに市井の者と交わり生まれた子供。

 だが本人は本名も氏素性も知らずに、母1人子1人で明るく真っ直ぐに育つ。


 彼女が17の年に母国でクーデターが起こり。

 クーデターに参加していない王侯貴族の血縁関係者は、尽く処刑されていく。

 そんな中、とある母娘にまで調査の魔の手が伸びる。

 彼女は1人で国から逃げる様に母に言われ、訳も分からないまま他国を目指した。

 彼女の母は年頃の奴隷を購入し、娘とは別方向へと逃げた。

 それ以降彼女は、母の行方を知らない。




 あの日から複数の国を超えて、尚逃げ続けてきたけど。安心出来るまで逃げる頃には、所持金が尽きかけていた。

 途中で謎に高性能の仮面を買って、顔を隠したら逃げやすくなる?なんて考えたのが間違いだったのかもしれない。


 以前の身分証は既に捨ててある。

 逃げた先で態々居場所を晒す事になるから。

 お金と新たな身分証を得る為に、万屋に登録した。

 幸い母国では魔法学科に入っていて、回復魔法の適性も高く。既にいくつかの魔法は使用可能になっているので。街で治療するだけでも幾らかは稼げると思う。

 利権問題があるから、細々とするのが限界だろうけど。

 だから1番良いのは戦闘万屋になる事。


 問題は自分の素性を聞かず気付かずで、ビジネスライクに徹してくれるチームに所属出来るかどうか。

 容姿は仮面で隠れて見えないが、生憎と体付きも目立つ。

 なので男性の居るチームには入りたくない。

 初日に組んだチームでも少年3人の視線を感じていた。

 汚れに塗れたおじさんだけは、チラリとも体を見ていなかったけど。


 少年達と分かれギルドでおじさんとも分かれてから、近くの宿で食事と1泊。

 僅かに元々の所持金まで使ってしまったのは痛かった。


 翌日はギルドの受付けに交渉して。ロビーで万屋相手に、回復魔法での治療で料金を得ても良いと許可を得た。

 受付嬢が大きな声を出して、万屋達に説明をしてくれていた。


 事前交渉で料金を決め、治療が済んだら支払いをする。

 未払いなら2度と治療しないと言ってあるので、誰もが素直に支払いをしてくれた。

 魔力が尽きるまでの半日で10万イエンちょっと稼いだ。


 宿への帰り道、昨日のおじさんがドブ掃除をしているのを見つけた。

 痩せてヘロヘロになりながらでも、丁寧な仕事に感心した。



 翌日は一言で言って地獄だった。

 あまり思い出したくはない。

 他に知り合いも居ないのでスーツのおじさんに声をかけた。

 おじさんも出来る事をするつもりで、参加する様だ。


 戦闘が始まった。

 そしてこれは戦闘ではなく、戦争だと思った。

 個別の治療については何も覚えていない。

 ただただおじさんの指示に従って、治療に走り回っていた。

 幸い私の担当で、死者は1人も出なかった。


 ポーションで回復していた魔力も尽きて、治療が終わったのは夕日も沈んでしばらくしてからだった。

 夕食の配給を受け取り食事を取っていると、黒い肌のゴブリンが奇襲してきた。

 私達の所にも1匹、黒い肌のゴブリンが現れた。

 更に2匹追加されて、もうダメだと諦めてしまった。


 だけどゼノさんの特殊能力が偶然発動して、私達は九死に一生を得た。

 そして私はこの能力に出会うために、この国にまで逃げて来たんだと確信した。

 それは生活魔法の亜空間に、お風呂まで設置された事でより確信に至った。

 これからもずっと、絶対に逃しませんよ?


 だから、お風呂に目が眩んで弾き飛ばして放置した事は許して下さい。

 チラ見程度なら、見逃してあげますから。






(^O^)/あとがき

 前話を書き終えた段階(投稿済みは17話ま)で、2000PVを突破しました。ありがとうございます。

 なのでこの話しが予約投稿で皆さんの前に現れる頃には。

 3000PVを超えていたらなーと、そんな願望を持ちながら記念に1話書いてみました。

 ミラは思考まで丁寧語にするか迷いましたが、サリアが楽に話せと物語の陰で言っているので。ゼノや仲間以外の人物。初対面の人物等は丁寧語で話すとしました。

 4000PVに到達したら、サリアを中心に書くかもしれません。

 今後とも生活魔法をよろしくお願いします。

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