梅雨、勉強をする ②
昼食を食べた後はまた勉強を始めた。
花音がは静かに漫画を読んでいた。時折お菓子とか飲み物とかを持ってきてくれる。あとは頭の良い花音は俺が分からない部分とかを教えてくれたりもする。
花音と一緒に居ると、勉強も苦にならない。多分花音と一緒ならどれだけ楽しくなさそうなことでも楽しめると思う。
「きー君は本当にがんばりやさんやねー。ずっと、今日は勉強しとるもん」
「花音が居るから勉強がはかどっているんだよ。ありがとう」
「えー。私なんもしとらんよ? でもそがん風に言われると嬉しかね。私はただきー君家でだらだらしとるだけとに、それも力になっとー?」
「うん。花音が一緒に居るだけで色々やる気が出るから」
「ふふっ、私もきー君がおると色んなことが楽しかよ!!」
花音は嬉しそうにはにかんで、そんなことを言う。
「苦手なことでも?」
「うん。苦手なことでも何でもたのしかと思う! そういうのって誰と一緒にやるかって凄く重要だと思うけんね。例えば、こう、嫌な記憶でも素敵な記憶に塗り替えられるものやと私はおもっとーもん」
「ははっ、それなら花音には嫌な記憶なさそうだな」
「うん。あんまりなかよー。きー君と恋人になってからは余計にその傾向がつよかかも。きー君は私を楽しくさせる天才やけんね」
花音とそんな会話を交わした後は、また勉強を始めた。なかなか英単語で覚えられないものがあった時は花音が「こういう覚え方すればよかよー!」なんていいながら面白い覚え方を教えてくれる。
花音は教えるのが本当に上手なんだよな。
英語も得意な花音は一緒に英語でしゃべってくれるし。花音と付き合いだしてから相乗効果のように色々本当にうまく行っていると思う。
夕方になるまで勉強を続けて、「きー君、そろそろ休憩して夕飯の買い物いこー」と言われたので一緒に買い物に行くことにする。
外は相変わらず雨が降っている。
俺の家には花音の傘も常備してあるようになっているので、そのまま向かう。
「きー君、結構雨ふっとーねー」
「そうだな」
「きー君、あっちに相合傘しとるお姉さんとお兄さんおるよ。なんかぎこちない感じやね。付き合い立てとかなんかな?」
花音が楽しそうにそんなことを言うので、そちらに視線を向ければ確かに少しだけぎこちない雰囲気の男女が居た。
「ああいうの応援したくなるよね。よかもんみたー」
花音はこういう雨が降る中での買い物という少しだけ気分が下がりそうな場面でも、にこにこと楽しいことを見つける。
「きー君、あそこのお花屋さんに飾ってある花綺麗やねー」
途中で見かける花屋の花が綺麗だとか。
「にゃんこが雨宿りしとるよー。かわいかねー」
野良猫が屋根の下で雨宿りしているものを可愛いだとか。
「きー君、今日は牛乳がやすかってー。得やね!」
買い物に来たスーパーで牛乳が安いと喜んだり。
本当に花音はいつでも楽しそうだ。
「きー君、今日は何たべたかー? やっぱりお肉? それとも魚がよか? 久しぶりに刺身食べるのもよかよね」
「俺は魚の気分だけど、花音は何が食べたいんだ?」
「今日はきー君が勉強がんばっとったけんね。きー君が食べたいもの準備したかと! それに私も魚食べたかったけん、魚たべよー!」
そういうわけで今日の夕食は魚になった。花音が食べたがっているので刺身を購入する。
「きー君、安か牛乳は買うとして他に何買いたか?」
「じゃあこれ買おう」
「よかね! あとお菓子も買っておきたか」
「ああ」
そういう風に会話をしながら、飲み物やお菓子などを買い込んでいく。
それなりの量になったので、ほとんどが俺が持ち、小さい袋を花音が持つ。
「きー君、おもくなかー?」
「うん。大丈夫」
「一人だったらこがんかいこめんけんねー。二人で買い物に行くとよかよねー」
「そうだな」
そんな会話を交わしながら、家へと帰宅する。
傘をさしていたけれど、それなりに雨が降っていたので服や靴が濡れてしまっていた。
「きー君、私ちょっと着替えてくるね!」
「うん。俺も着替える」
花音は一度、自分の部屋へと着替えに向かった。俺も着替えを済ませる。
花音はすぐにこちらへ戻ってきた。
「……花音、なんでパジャマ着てるんだ?」
「えー、このまま泊っちゃおうかなって気分だから」
「いや、ダメだ。凛久さんが居る時ならともかく……」
「きー君は本当に真面目さんだなぁ。そういうところも大好きやけどね」
そんな風に花音は笑った。
それにしてもパジャマを着ている花音も可愛い。ちゃんと責任を取れるようになってから……と思っているけれど花音の無防備な様子を見ていると俺の理性が試されている気がする。
花音と一緒に夕食の準備をした後、気を紛らわせるために勉強をした。
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