修学旅行の後 ②
「きー君、本当に私に沢山お土産買ってきてるとね。旅行のお土産ってなんだか楽しかよねー」
花音は俺が沢山のお土産を渡すと嬉しそうににこにこと笑っている。
クリアファイルやハンカチや、お菓子など――そういう沢山のお土産を花音はキラキラした目で見ている。こんな風に喜んでもらえると花音に色々買ってあげたくなる。
「全部使うけんね。それにしても北海道っていったことなかけん、来年が楽しみ! でもきー君と同じ学年だったらもっと楽しかったやろうなって思うんよね」
「花音が居なくて寂しかったから、来年花音が修学旅行に行った時も俺は寂しくなるんだろうなって思う」
「ふふっ、私も寂しかったとよ。やっぱりきー君と毎日一緒におっけん、きー君がおらんと違和感を感じっしね。でも来年はきー君も大学入るけん、今より会えんくなるって思うと……うん、さびしかー」
同じ学園に通っているから平日の日中も花音と過ごすことが出来るけれど、俺が大学に入ったら日中はあえなくなるからな。うん、俺も考えていても想像がつかない。
「でも会えなかった分、会えた時うれしかーってなるけん、それはそれやけどね」
「そうだな」
会えなかったら会えなかったで、会いたいという気持ちがわいてきて、やっぱり花音が好きだなとか、嬉しいなってその気持ちを実感できるのだ。
花音はお土産を一つ一つ見ながら感想を言ってくれる。
修学旅行の詳細については、花音が「話して大丈夫よ! きー君から話を聞いた上での方がきっと来年楽しかけんね」というので、詳細まで話すことになった。
俺が湖は大きくて遊覧船は楽しかったとか、おいしいものが沢山あったとか、アイヌの博物館で色んな発見があったとか、温泉はあったまってよかったとか、滝の迫力がすごかったとか……、楽しかった修学旅行の思い出を花音に語れば、花音は優しい笑みで俺の話を聞いてくれる。
「ふふっ、きー君が修学旅行を心から楽しんだんだって思うと凄く嬉しかね。きー君がおらんかったとは寂しかったけど、こんな楽しそうなきー君を見れるとなんか幸せやなーって思うんよね」
花音は俺が楽しく過ごしていたことが嬉しいだなんて笑う。
「花音は、どう過ごしてた?」
「普通にすごしとったよ。お兄ちゃんがおったけん、騒がしかったけどね! 学園でもクラスメイトたちが私を楽しくさせよーってしてくれとった。きー君がおらんで寂しがっとるの、周りにもバレバレやったみたいやけん」
花音が寂しがっているのを見て、周りは一生懸命元気づけようと必死だったようだ。その様子がすぐに想像できる。花音は周りから愛されているから、そんな花音が寂しそうにしていると周りは放っておかないのだろう。
「あとね、一緒にカフェにいったりしたんよ。きー君のこと、聞かれて色々語ったらラブラブだっていってもえたの! きー君と仲良しやって周りから認識されるん凄くうれしかねー」
「俺も修学旅行中、花音に会えないのが寂しいって口にして仲が良いって凄く言われた」
「ふふっ、私ときー君が仲良しやねーって広まるの本当によかよね! 学園できー君に手を出そうってする人いなくなるし!」
「俺は大丈夫だろ」
「きー君は凄くかっこよかけんね。優しいし! 私にとっては一番やもん。私、きー君が大学に入学した後迎えにいったりしてよか?」
急に花音が先の話をする。
「うん。花音が来てくれたら嬉しい」
「せいいっぱいおめかししてお迎えに行ったら、きー君に手を出そうってする人おらんくなるはずやもんね!!」
「逆に花音に惚れる男が増えそうだけど」
「その辺はほら、私ときー君の間には周りが割り込めないほど絆があるんよーって見せびらかしてよってこんようにすっと!!」
花音はそんなことを言いながらソファに座っている俺に引っ付いてくる。
俺よりも花音の方が、来年新入生から告白されたりとか増えるんじゃないかと思った。でも花音は断るだろうって分かっているから、そこまで心配はしていない。
「大丈夫だよ。もし仮に俺のことを好きだって言ってくる人がいたとしても全部断るし。俺は花音が居ればそれでいいから」
「はぁ、やっぱりきー君の声ってよかねー? 好みの声でそういう言葉いわれっと、ときめく!」
花音はそんなことを言いながらにこにこしている。
それにしても今日の花音は、凄く俺にひっついてこようとする。寂しかったからだろうなって思うと、花音は本当に可愛いなぁってそういう気持ちでいっぱいになる。
その後、その日は一緒にテレビを見たりしながらのんびりと過ごした。
数日ぶりに花音とずっと過ごすと、その日々が幸せだなって改めて思うのだった。
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