修学旅行 ⑥
アイヌ民族の施設に到着する。
正直こんなに大きな博物館があると思っていなかったので、俺は驚いてしまった。
電車でずっと寝ていたのもあって身体が固くなってしまっていた。身体を伸ばす。中は広いので、班で行動になっていたので倉敷たちと一緒に行動する。
入口に置かれていた地図を見ているけれど、結構広い。
これだけ広い建物が、一つの民族についてのものだっていうのがなんだかすごいと思う。俺はこういう民族のことを漫画やアニメでぐらいしか知らないけれど、そういう歴史とか見るの結構楽しそうだと思うので心が躍った。
ただこの施設って凄く大きくて、見れるものとか沢山あるらしい。正直全部を見ることは難しいかもしれない。
「どこから見に行く?」
「全部面白そうよね」
倉敷と三瓶がそんな会話を交わしている。
俺たちの方にもどうしたいかと聞かれたので、まずは正面にある博物館を見ることにした。
俺はあまり博物館や美術館といった文化的な施設に行くことは少ないけれど、いざ足を踏み入れてみるとこういう場所って楽しい。
先にシアターでアイヌ民族について知ることが出来る映像を流すとのことで見て見ることにした。同じように見に来ている同級生の姿も見られる。ただ博物館とかに興味ない同級生たちは博物館に入らずに奥の方へと向かったらしい。奥の方にも施設が色々あるから、こういう沢山楽しめるところだと何処に行くか悩むものだと思う。
映像はアイヌ民族の歴史についてだった。歴史の授業でそういう人たちがいるとは知っていて、漫画やアニメで見て単語は知っていたけれど……実際の歴史ってあんまり学んだことがなかったので結構楽しく見た。
そこそこ長めの映像だったから一部眠たそうな同級生も見かけたけれど、俺は少なくとも楽しんだ。花音もこういうの好きだろうなぁとまた花音のことを考えてしまっていた。
俺の頭の中を花音がよく占めていて、自分が花音のことがそれだけ好きなんだなとこういう何気ないところで実感する。
映像を見て大分満足感があったけれど、博物館の本番はここからである。
静かに展示品を見て回った。
アイヌ民族の衣装や、イクスパイと呼ばれる祭具など……沢山の展示がそこにはある。狩りをどんなふうに行っていたかとか、くらしについてだったりとか沢山の情報が溢れていて面白かった。
あとはアイヌの言葉を俺は全然知らなかったのだけど、それに関する展示もされていた。今でも方言で言葉が通じないところはあったりすると聞くけれどアイヌの言葉はより一層別なもののように感じられた。
展示品を見て回った後は、ショップを見る。折角こういう所に来たので、家族や花音にお土産も買っておきたかったのだ。アイヌの文様の描かれたショップでハンカチなどを購入しておく。
それが終わると俺たちは博物館から出た。
この施設奥の方に体験できる場所とか、聞き語りを聞ける場所とかあるらしいのでそちらに向かうことにする。
そちらに向かう途中は湖が広がる綺麗な景色だった。
天気が良いというのもあって、より一層楽しい気持ちになる。
「写真撮るか」
ゆうきの言葉に俺たちは頷いて、近くに居たほかの班の同級生に頼んで湖を背景に写真を撮ってもらった。
これも花音に送ろうと思う。
湖があって、奥には山が見えて……心地よい風が吹いている。うん、凄く良い場所だと思う。雨だったらまた雰囲気が違ったのかもしれない。今日は晴れだったので良かったと改めて思った。
次の施設までの道のりはそこそこ距離があったけれども、景色がよくてあっという間だった。
そして俺たちが次についた場所は、コタンと呼ばれる伝統的な茅葺の家屋の並ぶエリアにやってきた。コタンというのは、集落という意味らしい。
聞き語りが始まるまではもう少し時間があるとのことなので、脇でやっていた弓矢体験をやらせてもらうことにした。
「俺、弓射るのとか初めてだ」
そういいながら並ぶ倉敷の前には、他の同級生たちの姿も見られる。
やっぱり弓矢体験なんて、経験したことがないようなものは皆興味津々なのだろうと思った。
俺の番がきてやってみたけれど、難しくて全然あたらなかった。
狩りをして生活をしていた人たちはこういうのも簡単にあてていたのだろうか? と思うと凄いなと改めて思う。
そうこうしている間に、コタンで聞き語りが始まるみたいで見てみることにした。
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