GW明け
GWが明け、久しぶりの学園である。
登校すれば、倉敷やゆうきに話しかけられる。話す話題はもちろん、GWの過ごし方についてである。GWを俺が花音と凛久さんと過ごしたことを二人は楽し気に聞いていた。
こうして花音とGWを過ごしたことを、当たり前のように学園で話せるのも楽しい。堂々と花音と付き合っていることや、花音と過ごしていることを話せる友人がいることは良い事だと思う。
それにしてもGWの短い期間に色んなことがあった。一番は藍美のことだろうか。花音が一緒にいれば、どんなことでも乗り越えていけるようなそんな感覚になるのは、やっぱり花音が花音だからだろうか。
「喜一、もうすぐ修学旅行だな。天道さんと離れると思うと寂しくないか?」
「……ちょっと寂しいな」
五月には修学旅行がある。修学旅行には違う学年の花音を当然連れていくことなど出来ないので、花音と離れ離れになる。
たった数日の期間だけど、ずっと花音と一緒にいるから寂しい気持ちになりそうだなと思った。
修学旅行は高校最後の大イベントって感じだし、楽しみなんだけど……ただ花音と同学年だったらもっと楽しかっただろうなと思う。でも花音と同年代だったらそれはそれで俺と花音の関係性も違ったかもしれない。
そう考えると花音が後輩で良かったのかもしれない。
スマホの持ち込みは修学旅行で許可はされている。ただマナーモードにすることなどは言われている。修学旅行中、花音と沢山やり取りをしそうだ。来年の花音の修学旅行の時も寂しくなるだろう……なんて一年後の事を考えてしまった。
「今から寂しくなっているなんて大変だなあ」
ゆうきがからかうようにそういって笑う。
うん、俺もそう思う。でももっと大人になっていけば、花音と数日はなれたりとかも当然あるだろうし、その辺にも慣れないといけないと思った。そもそも来年には俺も大学に入学するわけで、環境も変わるしなぁ。
「それにしても北海道楽しみだよなぁ。上林は北海道いったことあるか?」
「ないな。倉敷とゆうきは?」
「俺もないんだよなあ。北海道って美味しいものが沢山ありそうだから、凄く楽しみだ」
「俺は小さい頃に一度あるぞ。両親と一緒にいったけれど、楽しかった」
倉敷は行ったことがないが、ゆうきは北海道は二度目のようだ。近場の温泉とかは家族旅行で行ったことがあるけれど飛行機に乗っていく距離に行くことってあまりないんだよなぁ。
修学旅行に行く準備も少しずつ進めて行かないと。四泊五日もあるわけだし。花音とも旅行にちゃんといってみたいなぁなどとも考えた。
「自由時間はそこまで多くはないけれど、色々見て回れそうだよな」
「五月の北海道って寒いんだろうか?」
「やっぱり東京よりは寒いんじゃないか?」
北海道は雪が沢山降っているイメージだけど、五月だとどんな感じなのかいまいちぴんと来ない。冬だったら雪が沢山降っているとか、そんな感じだと思うけれど。関東だと時々しか雪も降らないからなぁ。冬の北海道も興味があるけれど行くとしたらもっと準備を色々としていかなきゃならないだろうな。
修学旅行の事を考えているとワクワクした気持ちになってくる。地元へ戻る以外に、泊りがけで出かけるなんてないしなぁ。
そんなこんな話している間に、教師がやってきて修学旅行や受験に関する話があった。まだ先だけど、今年は大学受験である。花音や凛久さんに教わっているのもあって今の所受かりそうだけど、気を引き締めていかない。
一年もたたないうちに高校から卒業して、大学生になる。もしくは受験に失敗した場合は浪人生になる。どちらにせよ、高校生活は終わる。何だか不思議な気持ちになった。
修学旅行を終えたら、梅雨が来て、夏がやってくる。そしてあっと言う間に過ぎていくのだろうなぁと思った。
放課後になり、花音が俺の教室にやってきた。
「きー君、かえろー」
「うん」
にこにこと笑いながら俺に近づいてくる花音。そんな花音を見ると俺も嬉しくなる。
クラスメイトたちが「にこにことしている花音ちゃん見ると学校に来たなって感じする」などと言っているのが聞こえてきた。花音はよく俺のクラスにやってくるからクラスメイトたちも花音を見るとそんな気持ちになるのだろう。
「きー君、今日ね、久しぶりに学校きたけんさ、皆と沢山話したんよ。GWにどんなふうに過ごしたかも沢山自慢したとよ」
帰り道で花音はそんなことを言って満面の笑みを浮かべているのだった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます