俺の地元へ ③
俺の実家へ向かう最中も会話が弾んだ。
会話を交わすことが楽しくて、思わず会話が弾んだものである。途中で飲み物などを購入するためにスーパーによった。
そして俺の実家へとたどり着く。実家は二階建ての一軒家である。ちなみに俺たち家族が留守の間は、知り合いに家の管理を頼んでいたのだ。
久しぶりに見る実家は、何とも不思議な気持ちになった。
鍵を開けて中へと入る。
中に入ると、実家に置きっぱなしの靴が並べられていた。
本当になんというか、俺が実家を出た頃と変わらない光景がそのまま残っている。
「わぁー。此処がきー君が育った家とねー。ふふ、何だか雰囲気がよかねー。何だか昔澄んだった家みたいな雰囲気!! ね、お兄ちゃん」
「だな。木の戸建てってなつかしさとかかんじるな」
花音は大興奮である。
にこにこしていてはしゃいでいる。
「花音ちゃんと凛久さんって、地方出身なのか?」
「あ、そうですよ! 長崎なんです。親の都合でこっちにきたんです!」
そんな会話をしながら靴を脱いで、中へと入る。
置きっぱなしの冷蔵庫の中に飲み物などを入れてから、畳の部屋に腰かける。リビングの椅子は四つしかなくて一人座れないから、こっちに座っている。
花音はずっとにこにこしていて、凛久さんはそんな花音を見て穏やかな笑みを浮かべている。
「きー君、きー君!! これ、アルバムよね? 見てよか?? 私、きー君の子供時代みたかとよ。あと甲野さんたちも話聞かせてくださいよー。きー君の話!」
花音は棚に並べられているアルバムを見つけて、嬉しそうににこにこと微笑んでいる。
花音のその様子を冬人たちも微笑ましいものをみるような目で見ている。
「花音ちゃんは本当に喜一のことが大好きなんだな。よし、身ながら一緒に話すか」
「はい! あ、でも甲野さんたちもきー君と二年ぶりに会うんですよね? きー君と積る話もあるのならば、私はお兄ちゃんと他の事しときますからね!!」
「はは、そんなことは気にしなくてもいい。俺は花音ちゃんとも話して、喜一の高校生活知りたいしな」
俺も花音と冬人と一緒に、写真を見ながら会話を交わすことになった。
ちなみに菊夜に関しては、凛久さんと話が盛り上がっている。
「おー、ちいさかきー君、かわいかねー。これ、ボール遊びしよっと?」
「ああ。なんか俺、昔このボール好きだったみたいで、いつも手に持っていたって母さんが言っていたよ」
花音はボールを手にした幼いころの俺を見て可愛いなどと口にする。そう言って微笑んでいる花音の方が絶対可愛いと思ってしまう。
冬人とも小学生からの仲で、このころの幼稚園に入るぐらいの俺を知らないから楽しそうにしていた。
ちなみにその写真の中には藍美の写真もあった。
「あ、きー君、これがきー君の幼馴染?」
「うん。そうだよ」
「へー、この子が」
「喜一は藍美と結構仲良かったよな。小学生の頃は特にべったりだったし」
冬人が言うように、アルバムにおさめられた俺の写真は藍美と一緒に撮ったものが多い。
花音は「へぇー」といいながらマジマジとその写真を見ている。
「小さい頃の喜一は今よりももっとやんちゃしてたな」
「へぇ……きー君はもっと元気さんだったんですねー」
冬人の言葉に、花音は楽しそうだ。
「楽しそうだな、花音」
「うん。きー君の昔を知れるだけでうれしかもん」
花音はアルバムを見ていて終始楽しそうにしていた。俺の昔の話を聞けることが本当に嬉しいと、そうやって笑う花音。
一緒に話していた冬人もすっかり花音のことが気に入ったらしい。
「花音ちゃんはいい子だなぁ。喜一のことをよろしくな。俺もそっち遊びに行きたいな」
「是非是非!! その時はきー君とおもてなししますよー」
「隣なんだっけ?」
「そーですよ。ほぼ、きー君家に入り浸っちゃってます!」
「はは、そうか」
こういう風に昔の友人と、花音と一緒に笑いあえることが何だか楽しかった。
菊夜もすっかり凛久さんと仲良くなっていたし、将来の話をしていたようだ。冬人と菊夜も凛久さんの通う大学に興味を抱いているらしい。
元々興味があった大学らしいので、もしかしたら同じ大学に通えるかもしれないと思った。
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