日曜日に映画を見に行ったり、花音の部屋に行ったり ②

「天道先輩は至福もとても可愛いですね!」

「えへへー、でしょ? 流果ちゃんも可愛いよ」

「ありがとうございます!!」



 花音と熊戸はそう言いながらにこにこと笑いあっていた。やっぱり花音は可愛い。その会話を聞いているだけでも俺はほっこりした気持ちになってしまった。




「さっそく映画見ようか」




 そう言いながら花音が俺の手をひく。



 ショッピングセンターに映画館が入っているので、エレベーターで上がっていく。



「ふんふんふ~ん♪」



 隣から嬉しそうな鼻歌が聞こえてくる。

 大きな声で歌っているなら止めるが、俺にだけ聞こえるぐらいの小さな鼻歌なのでまぁ、いいかと思ってそのままにしている。

 それにしても映画も楽しみだし、花音がこれだけ楽しそうなのも嬉しい。




「もう席も予約しているから、そのまま入れるからね」

「はーい。ありがとうございます。天道先輩」

「楽しみですね」




 花音が後ろを振り向いて告げた言葉に熊戸と下北は、嬉しそうに返事を返していた。

 映画館のある階にたどり着く。そこには映画を見るために訪れた沢山の人たちがいる。




「きー君、何、かう?」

「俺、コーラ」

「私もそうしよーと。ポップコーンも買いたか。流果ちゃんと下北君は何買う?」

「私はオレンジジュースで、宗もよね?」

「うん」



 レジに並んで、それぞれ購入したいものを購入する。こういう映画館で飲み物を買って、映画が始まるのを待つのも楽しいと思う。




「きー君、私、ネタバレみとらんかったけん、すごく、楽しみなんよー」

「そうだな。俺も楽しみだ。劇場版だからこそのストーリーだろうし、どういう風に結末を向かえるかも含めて楽しみだ。ネタバレは見てないけど、前評判はいいからなぁ」

「ふふ、ねー、ネタバレみんで、こうしてみるのがよかよね。でもまぁ、ネタバレ見ててもよか映画はよかもんやけどね」




 映画の放映されるシアター3の席に座り、花音と会話を交わす。花音がにこにこと笑っているのを見るだけで俺は幸せな気持ちになる。



「天道先輩は可愛いですね。私、会話を聞いているだけでにこにこしちゃいますよ」

「……流果、映画館で興奮したように喋るのはやめよう」

「もう分かってるよ。宗、だから小さな声で言っているじゃん」



 熊戸と下北はそんな会話を交わしていた。



 ちなみに並び順は、左から俺、花音、熊戸、下北と並んでいる。席は丁度シアターの真ん中である。見やすい位置だ。



 時間になってオープニングムービーが流れて、劇場版が開幕された。







 そして終わった時には、




「ああああ、きー君、よかったねぇ。ネタバレみんでみとってよかったわ。すごー泣ける物語やったけん、私もう泣きそうなんやもん……ぐすっ」

「花音、大丈夫か?」

「そう問いかけてるきー君も泣きそうじゃんか」

「……いや、だって感動する話だったし」



 なんというか、友情を全面に出した物語で俺も花音もほぼ泣いていた。

 熊戸と下北は、熊戸の方は俺たちと似たような感じだった。下北はやれやれといった様子で熊戸にハンカチを渡している。




「うぅう、あんなに可愛くて、あんなに真っ直ぐで、やっぱりよかねぇってなっとー。きー君、私、幾らでもかたれっとよー」




 それにしても花音はどうしようもないほど感情的で、その様子が可愛いなぁと思う。



 こうして素の花音を俺の前で沢山見せてくれることが嬉しい。

 一旦、レストランに入ってゆっくり食事をとって落ちつくことにした。花音は注文したパスタを食べている時にはすっかりにこにこしていた。




「はぁ、うまかぁ。きー君もおいしか?」

「うん。美味しい」

「ふふ、美味しかもん食べれるとうれしかよねー」



 嬉しそうににこにこと笑う花音。



 それから熊戸と下北と一緒に、今見たばかりの映画の話題で盛り上がった。こうして好きなものの話を沢山出来ることがただ楽しかった。




「ふふ、楽しかったー。ありがとう。流果ちゃん、下北君。こうして一緒に映画が見れて、話しで盛り上がれて嬉しかった。ね、きー君」

「ああ。熊戸、下北、今日はありがとう」



 そしてレストランを出て、そのままお開きになることになった。



 花音と俺でそう声をかければ、熊戸と下北も「こちらこそ! また一緒にダブルデートしましょう」「僕も楽しかったです」と答えてくれた。



 そのまま熊戸と下北は仲良く帰っていった。



「ふふ、流果ちゃんと下北君、とっても仲良しでよかねー」

「そうだな」

「よし、きー君、かえーよ」

「ああ」




 そして俺と花音もそのまま帰宅するのであった。


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