日曜日に映画を見に行ったり、花音の部屋に行ったり ①

 その日、何だか珍しく花音に起こされる前に目が覚めた。



 まだ花音と凛久さんは目を覚ましていない。熊戸と下北と映画を見に行くまでにまだ時間はある。先に朝食の準備を済ませることにする。




 とはいっても俺の場合、料理なんて一人暮らしの簡単な料理しか出来ないため簡単に出来るものだけど。

 花音と一緒に料理をして、幾つかは作れるようになって俺の料理スキルも少しは上がったと思う。

 というか花音は的場先輩に料理を習って、すっかり出会った頃と違って料理が得意になっているよな。そういう向上心が強くて、出来ることを増やしていける花音が凄いと思う。



 そんなことを思っていたら、花音が目を覚ました。




「あれ、きー君、もうおきとったん? 美味しそうな料理がすーね」

「今日は目が覚めたんだ」

「ふふ、ダブルデートと私の部屋にくっとが楽しみやったと?」

「ああ。そうかも」




 花音の言葉に確かに俺は楽しみだったのかもしれないと思う。




 彼女と後輩とのWデートと、花音の部屋に招待されたこと。両方とも俺は楽しみになっているのだろう。





「きー君は相変わらず素直さんやね。私もきー君と一緒ですごく楽しみにしとっとよー。きー君と色んな思い出が作れるのやっぱりよかよねー」





 そう言ってにこにこと笑う花音はやっぱり可愛い。見ているだけでこちらの頬まで緩んでくる。

 やっぱりそのうちちゃんとしたカメラを買おう。花音との思い出を写真として残しておいた方が楽しそうだし。




「俺も花音と一緒に過ごせると楽しいし、幸せだ」

「えへへー、やろー?」




 思わず花音の頭を撫でた。

 花音は嬉しそうににこにこしている。 




 凛久さんも目を覚まして、一緒に朝食を食べた。





「じゃあ、俺は和巳の所行くから」

「お兄ちゃん、的場先輩となかよくね」



 そう言って凛久さんは去っていった。




 その後は、映画館に出かけるまでの間、のんびりと過ごす。空いている時間に勉強をしなければいけないので、受験勉強を少し進めることにする。そんな俺の近くで花音はスマホゲームを進めていた。



 俺が勉強をしていると花音は、邪魔をしないように気を遣ってくれている。そういう思いやりのあるところが流石花音だと思う。




 しばらく勉強をしていたら、



「きー君、勉強に集中しとーとにごめんね? もうそろそろ着替えた方がよかとじゃなか?」



 気づけばもう準備をしたほうが良い時間になっていたらしい。





「もうこんな時間か。花音、ありがとう。教えてくれて。着替える」

「うん。私もおめかししてくーよ。きー君とのWデートやもんねー」




 花音は着替えに行ったので、俺も着替えを済ませる。戻ってきた花音は、かわいらしい恰好をして戻ってきた。それにしても花音はどんな服を着ていても似合って可愛いなぁと思う。





「きー君、私、かわいかやろ? 見惚れる?」

「ああ。可愛い」

「ふふ、きー君もかっこよかよー」




 花音とそんな会話を交わした後、映画館へと向かうことにする。熊戸と下北とは、映画館で待ち合わせをしているのだ。




「きー君、私映画みっと久しぶり。きー君は?」

「俺も久しぶりだな」

「楽しみやねー」

「うん」




 花音と一緒にマンションを出て、映画館へと向かいながら会話を交わす。



 映画は時々しか見ないけれど、久しぶりに映画館に映画を見に行くというのもいいなと思う。それに今回は元々原作が好きな作品の映画だから、余計にワクワクする。




「きー君、映画楽しみにしとーと? 顔が楽しみって顔しとーよ」

「うん、楽しみだ。花音もだろ?」

「私も楽しみ!! 事前情報は先にみとるけど、実際に映画見たらどれだけ楽しかやろーってワクワクしとるもん」




 それから二人でこれから見る映画の事を話しながら、映画館についた。




「まだ二人ともきとらんね」

「そうだな」




 熊戸も下北もまだ待ち合わせ場所には来ていない。

 まぁ、ちょっとはやくつきすぎて、まだ少しだけ時間があるしな。




「Wデートって私、はじめて! 今度、お兄ちゃんと的場先輩ともやりたかね」

「そうだな。それも楽しそうだよな」

「うん。というかお兄ちゃんと的場先輩がどんなふうにいちゃついているかも後で連絡してきこーかなっておもいよっと。今日、的場先輩んところ、お兄ちゃんいっとうしねー」



 花音は相変わらず凛久さんと的場先輩のことに興味津々のようだ。



 きっと次に凛久さんが的場先輩を連れてきた時に花音に色んな事を問いかけられるんだろうなと思った。



 そんなこんな話していたら、熊戸と下北がやってきた。






「天道先輩、上林先輩、おはようございます! お待たせしました!」

「おはようございます」




 熊戸も下北も休日で、それもデートだからかおしゃれをしていた。



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