土曜日にゲームをしたり、凛久さんと会ったり ①
今日は休日だ。
明日、熊戸と下北と映画に出かけることになっている。今日は、土曜日で休みだ。
というわけで俺と花音が何をしているかと言えば、花音と一緒にギャルゲーを進めていた。
何で彼女の隣でギャルゲーをしているのかと言えば、花音が意気揚々とギャルゲーを持って俺の家にやってきたからだ。
「きー君、どの子がいい?」
「んー。このギャルみたいな子から行く」
「きー君、ギャルも好きと? 私もギャルのメイクとかしたら可愛いっていってくれっと?」
「花音はどんな姿でも可愛いと思うけど、今のままでいいよ。今のままで可愛いから」
「今の言葉凄いときめいたんやけど!! やばか!! きー君、私をときめかせる天才!! あれやね、これがギャルゲーの世界だったら100%好感度が上がる選択肢よ!!」
「良かったな」
「まぁ、きー君が言った言葉だったら全部好感度あがるけど!!」
隣に座っている花音はにこにこ笑いながらそう告げる。相変わらず可愛いことしか言わない。
一緒にいると、花音が可愛すぎるなぁっていつも思う。
ギャルゲーのヒロインたちも可愛いと思うけれど、花音の方が可愛いと思ってしまう。
じっと花音を見る。
「きー君、どうしたん? 選択しでとーよ?」
「花音が一番可愛いなと思って」
「ふふ、やろー? すいとー人やと、一番かわいく見えるもんやもん。私もきー君が一番かっこよくみえーよ!!」
そんなことを言う花音が可愛くて頭を撫でる。花音が俺を上目遣いで見るので思わずキスしてしまった。花音は「えへへ」と笑っている。
そんなこんなしていたら、ピンポーンと音が聞こえてきた。
凛久さんが来たらしい。花音が「出てくーね」と言って立ち上がって扉の方へ向かった。
「よう、喜一」
「凛久さん、こんにちは」
凛久さんは付き合いだした俺たちに遠慮してこない時もあるが、花音が「こんね」と言った時は来ている。
「なんだ、また花音も喜一もギャルゲーやってたのか?」
「うん。そーよ! こん、ヒロインかわいかやろ?」
「花音の方がかわいかよ」
「お兄ちゃんはまたそがんこと言って。彼女でも作ればよかとに」
「……はいはい」
「待って、お兄ちゃん!! 今の間なん? 誰かと付き合いよっと!? あ、分かった!! 的場先輩やろ!! お兄ちゃんが親しくしとー女の人とか今ん所、的場先輩しかおらんもん!! よね??」
なんだか凛久さんを花音が問い詰めている。期待したようにキラキラした目で、凛久さんを見ている。
それにしても花音は結構勘が良いというか、親しい人のことをよく見ているよなぁと思う。
「そう。和巳と付き合いだした」
「やっぱり!!」
どうやら凛久さんと的場先輩はいつの間にか付き合いだしたらしい。
ホワイトデー前には仲良くないなんて否定していたけど、何時の間にそんなことになったんだろうか?
「ねー、お兄ちゃん、いつん間に的場先輩と付き合いだしたん? どっちから告白したと? やっぱりいつもあいよっと? どんなふうにいちゃいちゃしとー?」
花音は恋バナが好きなのか、興味深そうにそう問いかけている。俺もどうして付き合いだしたか少し気になる。花音ほどどんどん問いかけようとは思っていないけれど。
花音にキラキラした目で見つめられ、シスコンな凛久さんが抗えるはずがない。
俺も花音にこんな風に問いかけられたら答えずにはいられないだろう。
「……ついこの前だ。俺から告白した。大学帰りとかにあいよーよ」
「わぁあああ!! お兄ちゃんから告白とか初やなか? お兄ちゃんって向こうからグイグイこられるタイプやったやろ? 向こうから押し切られてなんとなく付き合ったりはしたことあっとは知っとったけど、お兄ちゃんからとか本気やね。今度、的場先輩もつれてきーよ。私、イチャイチャしとるとみたかもん」
花音がまくしたてるように言えば、凛久さんがたじたじになっていた。
大体花音の望みを叶えようとする凛久さんだけど、やっぱり恥ずかしいのだろう。俺は兄妹がいないから分からないけれど、こういう状況になったら恥ずかしくなるかもしれない。
「お兄ちゃん、お願い。今度連れてきてよー。私、お兄ちゃんと的場先輩のイチャイチャみたかー」
「……分かった」
「やったー!! 楽しみにしとー!! 的場先輩にも連絡いれよーと!!」
「ああ。……その話は一旦おいといて、ゲームの続きやるんじゃないのか?」
「はっ、そうやった! きー君、放っておいてごめんね! ゲームの続きしよー!!」
花音の興味がゲームに戻ったので、凛久さんはほっとした様子である。でもまぁ、今度的場先輩が来た時にまた色々凛久さんは聞かれるんだろうなぁ。
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