学年が上がる
春休みは、花音と過ごしていればすぐに過ぎて行った。楽しい時間だからこそ、過ぎていくのがはやい。
三年生に上がり、クラス表を確認する。俺はゆうきや倉敷、三瓶たちと一緒だった。それを確認して俺は教室へと向かう。ちなみに花音は先ほど二年生の教室へと向かった。
花音は学年が上がるということに一切、不安はないらしい。楽しそうににこにこ笑っていた。
教室の扉を開けて中へと入れば、ゆうきに声をかけられる。
「よう、喜一。今年も同じクラスだな」
「おはよう。ゆうき。そうだな」
「明知さんは隣のクラスみたいだな」
そういえば、明知の名前はクラス表にはなかった。自分のクラスを確認した段階で、他のクラスまで確認はしていなかったが、明知は隣のクラスらしい。
「春休みももう終わりだと思うと何だか嫌だよな」
「確かにな」
「喜一は天道さんの両親に会ったっていってたっけ」
「ああ。俺の両親も一緒にな」
「付き合って一年も経っていないのに互いの両親と仲よくしているっていうのも凄いよな」
当たり前みたいに咲綾さんたちとあって、俺の父さんたちも花音と会った。でも冷静に考えてみると互いの両親と知り合いになるのはやいよな。
そんなことを考えて少し不思議な気持ちになった。俺は花音と一緒に居るのはもう当たり前になってしまっている。それでもまだ一年も経過していないのだ。
「天道さんのご両親と会っていたの!? 上林君凄いね」
「両親公認!?」
……ちなみに俺たちが花音のことを話題にしていることは分かっているからか、クラスメイトたちは結構俺たちの会話を聞いていた。そのため、俺たちの会話を聞いて驚いた声をあげている。
花音と付き合う前の俺はこなに注目を浴びる事なんてなかったなぁ、なんて一年も経ってないのに昔が懐かしくなってくる。それにしてもすっかり俺と花音が付き合っていることがこの学園で受け入れられていることは嬉しく思うけど。
その後はゆうきと大学受験の話になった。俺は凛久さんの通っている大学が第一希望で、花音と凛久さんに勉強を見てもらっていることはゆうきにも伝えてある。ゆうきの志望大学は俺とは異なる。
高校一年生からの付き合いであるゆうきとも、高校を卒業すれば今までのように顔を合わせることがなくなると思うとふしぎな気持ちになる。
「今年は受験を頑張らないとな」
「ああ」
これで花音と過ごすのが楽しすぎてなんて言い訳して、受験勉強をおろそかにするなんてことになるのは勘弁したい。受験勉強をしっかりして、大学受験を成功させないと。
そんな会話を進めていたらがらりと教室の扉が開いた。三瓶である。珍しく倉敷が傍にはいない。何だかきょろきょろして、挙動不審であった。
「か、上林! まだ達史来てないわよね?」
「ああ。来てないが……寧ろ一緒じゃなかったんだな」
「……そう」
三瓶はそう言って自分の席に座った。そして三瓶はクラスメイトと話し出す。そのしばらく後に倉敷がやってきた。見れば、何だか倉敷も様子がおかしい。三瓶と倉敷は挨拶はしたものの、それ以上の会話を交わさなかった。……この二人、何かあったのだろうか?
そんな風に思っていたら倉敷が俺たちの方に近づいてきた。
「なぁ、上林、永沢、少し相談があるから始業式の後いいか?」
多分、三瓶のことだろうなと思いながら俺とゆうきは頷くのであった。
始業式の後にファミレスによって、会話を交わすことにした。花音には倉敷の話を聞くため、帰りが遅くなることは伝えておいた。
始業式は特に問題も起こらずに終わった。
ゆうきと倉敷を連れて俺たちは、ファミレスへと向かった。ファミレスでドリンクバーと、軽い食事を頼んで、会話を交わす。
「それでどうしたんだ? 三瓶と何かあったのか?」
「あー……わかるか?」
「今日、あまり話していなかったしな。そういうの珍しいだろう」
俺がそう言えば、倉敷は少しだけ困ったような顔をして、口を開いた。
「……郁子に告白されたんだ」
そして倉敷は、三瓶から告白されたことを告げた。
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