両親と花音との春休み②
今日は花音と俺と、両親とで買い物に出かけている。
電車に乗ってショッピングモールに向かった。俺と花音は手を繋いで電車に乗っている。ちなみに母さん達も手を繋いでいる。春休みなので、電車も結構混んでいるので花音を守るように俺は立っている。
そして目的地にたどり着いて、俺達は電車を降りた。
「やっぱ、都会は人がおおかよねー。私、こっちきてから高校も家から近いし、混んでる電車のらんけん、やっぱなれんとよねー」
「それは俺もだ。俺もそんな混んでるところは乗らないからな」
「いっしょやねー」
手を繋いだままへにゃりと花音は笑う。
やっぱり花音は可愛い。花音がかわいらしくて、俺も笑ってしまう。
「あらあら、私たちがいるの忘れてる?」
「母さん、忘れてないよ」
「その割には、イチャイチャしてるじゃない」
「……花音が可愛いから仕方ない」
「喜一も良い顔をするようになったわね」
なんだか母さんに軽く頭を撫でられて、恥ずかしい気持ちになってそっぽをむく。いや、だって高校生にもなって親に頭撫でられるのは恥ずかしいだろう。
「ふふ、きー君、かわいー」
「そうね。可愛いわね。花音ちゃんも可愛いわよ」
「わーい、百合さんありがとうございまーす!!」
そんな風ににこにこと微笑んでいる花音と母さんを見て、父さんは穏やかに笑ってる。俺はなんだか恥ずかしいので、「行こう」と口にして花音の手を引いて、ショッピングセンターに向かった。
母さん達もその後ろについてくる。
ショッピングセンターの中へと入り、花音が行きたいという洋服を見ることにした。母さんも娘がいないからか楽しそうにしている。
……まぁ、昔は例の幼馴染と仲良かった時は、その幼馴染の事を母さんは可愛がっていた。俺が中学でその幼馴染と色々あった時は、息子の俺の味方をちゃんとしてくれたけど。
母さんも娘が出来たみたいで、嬉しいのだろうと思う。
「きー君、きー君、みてー。私かわいくなかー? このワンピースよかなーって思うんやけど」
「うん。可愛い」
「きー君、こっちは?」
「可愛いよ」
「何でも可愛いっていっとらん? ちゃんときー君の好みのもの着たかとけど?」
むーっとした顔でそんなことを言う花音。やっぱり花音は可愛くて俺は口元を緩めてしまう。
……うん、なんか母さんが楽しそうにこちらを見ていたり、父さんがにこやかにこちらを見ていたり、恥ずかしいけど、俺に言葉をかけてほしいと期待しているので花音に言葉をかける。
「花音は可愛いから、何でも似合うなって思って。どんな服でも花音は似合って、色んな雰囲気を楽しめるし。……でもまぁ、しいて言うなら花音にうんと可愛い恰好してほしいなっては思うかな。何でも似合うけど」
「ふふ、きー君は、素直さんやねー。よかよ!! きー君、私に似合う服選んでー」
花音ににこにこと笑ってそう言われて、俺は花音の服を選ぶことにした。女性もののエリアでこうして選ぶのも目立ってしまうのだけど、花音と一緒なら気にならない。というか、父さんも母さんの服を一緒に選んでいるし楽しそうだ。
俺も口には出さないけど、母さんと父さんのような夫婦って憧れると思う。
「えへへー、きー君が選んでくれた服、うれしかなー」
俺が選んだ服は、母さんが支払いをしてくれた。その袋を抱えて花音は嬉しそうに微笑みを浮かべている。
その後、四人で食事を行った。
その支払いも俺の両親がしてくれるとのことだった。
「おいしかー。百合さん、敬一さん、ありがとうございます!!」
「いいのよ、全然。花音ちゃんには喜一がお世話になってるもの」
「気にしなくていいんだよ。長い付き合いになるだろうしね」
「私の方がきー君にお世話になってますよー。あと長い付き合いにはしますよ! きー君が嫌って言っても離せないぐらい私、きー君、大好きですもん」
花音は俺の両親に何を宣言しているのだろうか。嬉しいけれど、母さんがニヤニヤしていて、俺は恥ずかしい。でも花音が俺とずっと一緒にいてくれたいと言ってくれて嬉しい。
嬉しくて隣に座る花音の手を握った。……母さんと父さんは向かいに座っているから見えないはず。それに気づいた花音がこちらを見て、にっこりと笑った。
俺も、花音が嫌っていっても離せなくて、ずっと一緒に居たいって思うぐらい花音とずっと一緒にいたいなって思った。
食事を終えた後は、ゲームを見に行ったり、ぶらぶらした。俺の受験の話もした。受験に合格した後の話もちらりと触れた。
俺が「花音がいるから大学に受かっても一年は今のところで暮らしたい」ということを言えば、花音が嬉しそうに笑っていた。
すっかり花音がいるのが当たり前になっているし、花音と離れるなんて考えられないしな。
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