付き合ってからはじめてのデート ①
「きー君、おじゃましまーす。ってもうおきとっとね。前のおでかけの時みたいにきー君の寝顔みれっとかと思ったとに」
花音と動物園に出かける日がやってきた。花音は以前おでかけをした時と同じように俺の家に普通にやってきた。
そしてちょっと残念そうな顔をする。
そういえば以前おでかけに出かけた時は、眠っている俺を花音が起こしていたんだっけ。花音は俺の寝顔を見たかったのだろうか。
「……そんなに見たかったのか?」
「そりゃそーよ。だって好きな人の寝顔やったらいつでもみたかったい。そんなにきー君の寝顔毎回みれとるわけでもなかし。きー君の寝顔ってかわいかやんか」
「いや、自分だと可愛いとか分からないけど。でもそんなに見たいならいつでも見に来ていいけど。花音は俺の彼女だし、鍵もあるわけだし」
「えー、よかと? でも恋人やったとしても自分が寝ている間に人がおったらいややなか? いや、私はきー君に寝顔見られっとは全然よかけどさー」
「俺も花音になら見られても問題ないからな」
「えー、じゃあ、みにこようかなー。お言葉に甘えてみにくっかも。でもそれだったらきー君も私の寝顔見放題やっけんね。んー、でも初めてきー君が私の部屋に来るんやったらもっとちゃんときてほしかかも」
花音は朝食を作りながら、そんなことを言っている。
俺の寝顔を花音が自由に見るのは特に問題はない。花音が喜ぶなら俺の寝顔ぐらい自由に見ればいいんじゃないかと思う。
しかし俺が花音の寝顔を勝手に見に行くのは何か違うだろと思う。
「いや、俺はそんな夜這いみたいなことはしないからな? 花音の家に行っていいってならいくけど」
「えー。別に夜這いしてもよかよー?」
「ぶっ……。花音、流石にそんなことはしないから。ちゃんと責任とれるようになってからな……」
「えー。うーん、まぁ、そういうんやったらそれでもよかけどー。じゃあ、私ん家にきー君を呼べる準備出来たら誘うけんね。初めてのきー君の訪問ってかんがえっと、ちゃんとしときたかしさー」
何だか花音は残念そうな声をあげている。
いや、そんな風に声をあげられたとしても、花音とはちゃんと考えて接したいからそんな夜這いなんて真似はしない。……でも花音に誘惑され続けたら我慢できるのか、否かはちょっと自信ないけど。
それでもまぁ、ちゃんと責任とれるようにしてからがいいなとやっぱり思っているから。
花音の作ってくれた朝食を食べて、のんびりと過ごす。花音は「一度着替えてくーね」と言って、着替えに向かった。
花音は動きやすそうなズボンスタイルで戻ってきた。何だか私服の、お出かけスタイルの花音も可愛いなと思う。
「えへへー、きー君、どう? 初デートで浮かれている可愛い彼女の服装に何か感想はなかー?」
うん、自分で初デートに浮かれているとか言っちゃうあたり花音だなぁと思う。花音は基本的に素直なのだ。
くるっと一回転して、花音は、にこにこと笑っている。
俺も花音とのデートは楽しみだったけれど、花音もこれだけ楽しみにしていてくれたかと思うと嬉しい。
「凄く可愛い」
「ふふふー、よねよねー。かわいか私に悩殺されとー?」
「されてるされてる」
「むー、言葉軽くなか?」
「本心だよ。何だかドキドキしてるし」
「ほんとー?」
花音はそう言いながら俺の胸に手をあてる。そして俺の心臓が鼓動しているのを実感したのか、嬉しそうに笑う。
「本当にどきどきしとーね。きー君が私にドキドキしてくれとっと嬉しかわー。きー君、今日はね、私、全力を持ってきー君のことを悩殺するの!!」
「……お手柔らかにな。いつも悩殺されてるんだから、本気出して誘惑されたらどうなるか分からないからな」
本当にただでさえ、なんていうか花音は可愛いのに本気出して誘惑されたら困るというか……まず外ではやらないでほしいかなとは思う。普段からこうなので、異性を惹きつけるだろうから、また異性が惹かれていったら困るし。
そういうことがあったとしても花音は浮気とかは絶対にしないだろうけど。
「きー君、じゃ、いこっか」
「ああ」
おめかしをした花音に手を引かれて、俺は花音と一緒に家をでるのであった。
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