2月になる。


 あっと言う間に二月に突入した。花音と楽しく過ごしていたらすぐに時間が経過していって正直驚く。



 こうやってどんどん日が経過していって、三年生になるのだなと不思議な気持ちである。

 明知が話しかけてきたり、花音や凛久さんと過ごしたり――、そんな日々を過ごしている。



「ねー、きー君、これ、上手にできとらん?」

「ああ。美味しいよ」



 花音は料理をまだ作っている。とはいえ、一人で作るのも寂しいと思ったのか、一緒に料理を作ってほしいと言われた時は一緒に作っている。


 それにしても花音はやっぱり色んな容量が良いというか、学んだことをすぐに出来るようになる天才肌なタイプだなと思う。

 俺の誕生日は二月の後半で、最近は花音は何だか的場先輩たちとこそこそしているようだ。




「きー君、そういえばねー。的場先輩とお兄ちゃんがなんか仲良しな気がするんよねー」

「的場先輩と凛久さんが?」

「うん。というか、お兄ちゃん、何だかんだ的場先輩ん事気に入っていると思うんよ。じゃなかったらこがんやりとりせんもん」

「そうだなぁ。的場先輩が凛久さんに興味なさそうというか……そういう感じだし」

「そうやね!! 下心なかけんよね、きっと。お兄ちゃん、肉食系女子に狙われ過ぎとってつかれとーもん。やっぱ私とお兄ちゃん、好みにとっとよねー」



 そんなことを言いながら花音はにこにこと笑っている。



 的場先輩は凛久さん目当てっていうより、花音目当てな雰囲気だしな。だからこそ、凛久さんも付き合いやすいのかもしれない。



 ちょっと気になったので、『的場先輩と仲よくしているんですか?』と凛久さんに連絡を取れば、『普通。仲良くしてない』と返ってきた。でも詳しく聞いてみたら、凛久さんと的場先輩は結構頻繁に連絡を取り合っているらしい。



 花音のことと俺のことが話題として多いらしい。花音のことはともかくとして、俺のこととは何を話しているのだろうか……と不思議な気持ちになってしまった。

 







 さて、そんな風にいつも通りの日々を過ごしているわけだが……花音は恐らく俺の誕生日の準備をしているのか忙しそうだ。花音が家に帰った時に居ない時もあって、少し寂しいなと思ってしまうので、そういう時は誘われたら倉敷たちと遊んだり、クラスメイトたちとの勉強会に参加することもあった。



 ……なんというか、花音が家に入り浸る前までは、一人でいるのも当たり前だったし、今でも一人で暇つぶしをすることは出来るけれど――なんか花音がいないとなんか違う感覚になるというか――まぁ、そんなわけで俺は時間をつぶしている。ただ人とずっと過ごすのも疲れるから、時々だけど。



「上林は教えるの上手いよな」

「最近、成績も上がってるよね?」



 ……全部、花音のおかげとしか言いようがない。俺は花音と凛久さんの教え方が上手だから真似しているだけだしな。そして俺の成績が上がったのも花音と凛久さんのおかげだし。



 明知も教えることが得意のようで、一緒になって教えていた。


 それにしても花音から与えられていることは多いな……と思ったので、帰りに花音が喜ぶようなものを買うことにした。お菓子やケーキなどだ。

 持って帰れば、花音が「えー、なんでこがんかっとっとー? 嬉しかけど」というので、感謝の気持ちを伝える。そうすれば、「えー、私ももらっているものの方がおおかよー」などと言われた。



「いや、俺の方が花音に与えられているだろ」

「いえ、私の方がきー君に沢山んのものをもらっとーよ。きー君とおっと楽しかし、きー君が笑ってくれっと嬉しかし!!」



 なんだかまたよく分からない言い合いになって、その後二人して我に返ってその話は中断した。



「そういえば、きー君、クラスの人たちと過ごすのはどうでした?」

「普通に楽しいな。勉強はタメにもなるし」

「それはよかった! きー君が楽しそうで嬉しかよー。あ、でも一番仲良しなんは私やけんね? きー君がクラスの人たちと話すの楽しかって思っても、私んこと、放置したらややけんね? 私んこともかまわんとよー?」

「それは大丈夫だ。花音がいない時にクラスメイトと過ごしているだけだから」

「ふふふー、ならよかよー。私ときー君は仲良しやもんね!!」



 花音は満面の笑みでにこにこと笑っている。


 やっぱりなんというか……花音の笑顔を見るのが当たり前になっているからか、花音の笑顔を見ると落ち着くなと改めて思った。

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