クリスマスと準備

 今日はクリスマス。そして終業式でもある。目を覚めた時、俺は違和感を感じた。何かが頭にあると気づいて手を伸ばせば、梱包された紙袋が置かれていた。



『メリークリスマス!! 花音ちゃんサンタからのプレゼントです!!』



 そんなメモの書かれたプレゼント。もう花音は俺の家に来ているらしい。

 リビングへと向かえば、



「きー君、おはよー。メリークリスマス!!」

「メリークリスマス、おはよう、花音」



 花音は昨日のあまりのケーキを俺の前に置いてくれる。朝からケーキでも、美味しいから全然問題はない。

 朝から食事を取った後、俺も花音にプレゼントを渡した。



「ありがとうー、きー君、一緒に開けましょう」



 互いに渡したプレゼントを二人で開ける。花音が俺にくれたのは、黒い手袋だった。最近寒くなってきたからということのようだ。



 俺が渡したのは、赤と黒のチェックのマフラーである。花音は「ありがとう!! 今日も寒いからつけてく!!」などと嬉しそうに声をあげていた。

 俺も花音がくれた手袋をつけていくことにする。


 終業式はこれといって何か起こることはなかった。




「喜一は明日から向かうんだろう?」

「ああ。ゆうきも実家に帰るんだろ?」

「俺は四日後から帰る予定だ。それまではのんびりしておく」



 ゆうきには花音の実家に向かうことを伝えてあるので、そんな会話を交わした。



 終業式だからと周りは興奮したように声をあげている。倉敷たちは今日はクリスマスパーティーを行うらしい。俺も誘われたが、花音が「クリスマスは一緒に楽しもうね」とにこにこしているし、明日の準備をもっと進めておきたいので今日は遠慮しておいた。



 今日は花音が食事などを用意してくれるということなので、終業式が終わると真っ直ぐに家に帰った。



 家にはまだ花音は戻っていなかった。多分、買い物に向かっているのだろう。俺はソファに座り込む。花音を待っている間に眠くなってしまって、気づけば眠りの世界に旅立っていた。





 音がする。

 食器などの音。

 俺はその音に目を覚ます。



 目を開けて、きょろきょろとあたりを見渡せば、花音と目が遭った。




「きー君、目ぇ覚めたん?」

「ああ。今、何時だ?」

「14時だよ。きー君、昼ご飯たべよー」

「花音、先に食べてなかったのか?」

「うん。だって私、きー君と一緒に食事したかもん」



 そんな風に言って笑う花音と一緒に昼食を食べる。



 花音がケーキ屋さんで予約してくれたチーズケーキは夕飯に食べることにする。

 二人でホールケーキを食べるのを夕飯にしようというそういうことになっている。ホールケーキを一人で全部食べることも憧れているけれど、流石に一人だと食べきれないからな。そんなわけで花音と二人でホールケーキを食べるのだ。




「きー君、明日は朝から私ん家むかっけんね。準備ちゃんとできとー?」

「ああ。大体は。でもまだ全部は出来ていないから」

「まぁ、身一つで来てもよかとよ? 向こうで買ってもよかし。私はきー君をお持ち帰りできればそれでよかもん」

「いや、駄目だろ」



 何を言っているんだ……と思うが、花音の言葉は本気だろうなと思う。例えば俺が何も持たずに花音の家に向かっても花音も花音の家族も気にしない予感はするけど。そんな非常識なことは流石にしない。



 などとそこまで考えて夏に出会ったばかりの後輩の家に年末年始向かうこともなんかおかしいよななどとも思うけど。


 昼食を食べた後は、花音と一緒に明日からの準備をする。花音もわざわざ大きなバックを俺の部屋に持ってきて、一緒に準備をしはじめる。何で自分の部屋ではなく、俺の部屋で実家に帰る準備をするのだろうか? などと疑問を口にしたら「きー君と一緒に準備したほうがたのしかもん!!」などと満面の笑みで言われた。


 俺があげた帽子、ブーツ、マフラーは実家に帰る時に身に着けてくれるらしい。




「きー君がくれたものは全部、家族に自慢すっとよ!! きー君も私のあげた手袋つけてね」

「ああ。そうするよ」

「ちゃんと、宿題も忘れずいれとる? 流石に宿題忘れたらこまるけんね」




 ……俺は花音と一緒に花音の実家に向かい、そして一緒に戻ることになっている。1月5日はこちらに戻る予定にはなっているが、十一日も花音の家にいるかと思うと不思議な気持ちだ。

 花音は楽しそうに準備をする俺のことをスマホで撮ったりしていた。




「なんでそんなもの撮るんだ?」

「きー君がうちん家にくるんだって思うと嬉しかもん。だから記録に残しとこうと思って」



 にこにこ笑いながら花音はそんなことを言い放った。



 何でそんなものを撮るのかとはおもうものの、花音が楽しそうなのでよしとしよう。夕飯までの間に明日からの準備を終えておいた。

 夕飯は花音と一緒にホールのチーズケーキを食べて幸せな気持ちになった。




「おいしかねー、きー君」

「そうだな。美味しいな」

「こがんおおきかケーキ、二人でたべっと、なんか贅沢やね。ねー、きー君、来年はどんなクリスマスケーキがよか?」

「そうだなぁ……二段ケーキとかも憧れる」

「二段!! よかねー。二人で食べれるんやったら食べれそうやし」



 チーズケーキを二人で食べながらそんな会話を俺達は交わすのだった。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る