テストの結果とクリスマスイブ

 テストの結果が配られた。俺はいつもより順位が高く、学年10位になれることが出来た。これも花音と凛久さんのおかげであるだろう。



「上林!! 俺、順位、上がっていた。ありがとう。上林のおかげだ!!」



 そんな風に俺に対して喜びの声をあげるのは倉敷である。倉敷とはあれから学園でたまに勉強会をした。俺のノートを見せたり、聞かれたことを答えたり――そういった程度だったけれど、倉敷は俺に感謝をしていた。

 倉敷が俺の家に来たのはあの一度だけだ。一度でも花音のマンションにいけたということで倉敷は満足したらしかった。まぁ、花音の話は沢山してくるけどな。

 俺としてみても感謝されることは嬉しい。



 俺も花音に勉強を教えてくれてありがとうとお礼を言おうと思う。ちなみに今日はクリスマスイブだ。終業式は明日。



 俺は明日の終業式が終わった後、26日から花音の家に一緒に向かうことになっている。本当に花音の家に俺が向かっていいのかという気持ちはあるが……まぁ、母さんと父さんにも「花音ちゃん家で楽しんできなさい」などと言われている。父さんにも花音の話は母さんの口から言ったらしい。



「上林君、何位だったの?」

「10位」

「すごいわ」

「そういう明知は俺より順位高いだろう?」

「私は9位だよ。上林君と変わらないよ」



 などといって笑いかけてくる明知は、花音に勉強を教えてもらって順位をあげた俺と違い、入学当初から高順位をキープしているらしい。流石である。



 ちなみに花音は入学してからずっと一位を譲っていないらしい。家にいる時勉強をしている姿などほぼ見ないので、本当に凄いと思う。



 学校が終わって、俺は近所のショッピングセンターに向かう。そのショッピングセンターは前に花音と出かけた場所である。

 今日俺が何をしにきたかといえば、ケーキを買いにきた。この時期は、ホールケーキが売ってあるからな。


 花音と相談をして、クリスマスイブもクリスマスもケーキを買うことにしている。俺も花音も甘いものが好きだし食べられるだろうと思っているのだ。なんなら朝ごはんとかに食べても全然いけるし。今日はチョコレートケーキを買った。明日のクリスマスは、花音がケーキ屋さんにチーズケーキを注文してくれている。



 ついでにチキンなども購入して、家へと帰った。



「きー君おかえりーー!!」



 今日も花音は満面の笑みで俺のことを家の中へと出迎える。俺の部屋のはずだが、すっかり花音の家のようになっている。



「きー君、テストの順位あがっとったんよねー。おめでとー!!」

「花音のおかげだよ。教えてくれてありがとう」

「私のおかげってことはなかよ。きー君ががんばらんかったら、そがん順位とれんもん」

「花音は今回も一位か?」

「うん。私は今日も一位よー! きー君、私をほめんね!」

「頑張ったな。花音、流石だ」

「えへへー。きー君にほめられっとうれしかね!!」



 犬耳と犬の尻尾が見えるなぁなどと考えていた俺は思わず花音の頭を撫でてしまった。はっとなったが、花音は嬉しそうな顔で嫌がる素振りを見せないので、俺は満足するまで花音の頭を撫でてしまった。


 花音の髪はさらさらで触り心地が良かったとだけいっておく。



「きー君、ケーキうまかねー。チョコレートケーキってぱりぱりしとっとうまくなか? 生クリーム系も好きやけど、こうぱりぱりしてんの好きなんよ」

「俺も美味しくて好きだ」

「よねー。しかも中にバナナはいっとっとよ。めっちゃよかよね」


 二人でそんな話をしながらケーキを食べた。



 ちなみに花音は俺にクリスマスプレゼントをくれるつもりらしい。俺も準備してある。花音が「クリスマスの日にメリークリスマス! って渡すけんね。私、きー君のサンタになっとよ」などと言っていたので、俺も明日渡そうと思う。



 花音が何を用意してくれているかは定かではない。花音にも俺が何か用意していることは悟られているだろうが、何を渡すつもりかは知らないだろう。

 そういえば、今日ショッピングセンターに行った時に、花音の実家へ向かう時のお土産も購入してある。母さんが「ちゃんと買うのよ」とお金を振り込んでくれていた。



「きー君とクリスマスイブすごせっと楽しかねー。きー君がおっけん楽しくて、私嬉しかよー」

「ああ。俺も花音とだからクリスマスイブが楽しいよ」

「ふふふー、互いに嬉しかってよかよねー。明日のクリスマスもきっと楽しかよ!! 楽しみ!!」



 花音はそう言って笑みを溢した。

 うん、俺もきっと明日のクリスマスも絶対に楽しいと確信している。

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