花音の誕生日 ③

 料理を食べ終わった後は、五人でのんびりと過ごす。ゆうきはさっさと帰ろうとしていたのだが、花音が「誕生日なので、もっと皆で一緒に騒ぎたい!!」と言っていたので、残っている。




「皆が祝ってくれてめっちゃ嬉しかよ」

「良かったな。でも散々、昨日も祝われただろう?」

「うん。でも学園で祝われるのも嬉しかけど、こうしてきー君たちに祝ってもらえっと、めっちゃ嬉しかもん」



 花音はにこにこと笑いながら嬉しそうだ。



「お、俺は何処にいればいいんだ……」

「永沢、そんなに緊張する必要はない。普通にしていればいい」

「何で家主ではない天道さんが答えているのですか? 永沢君、のんびりしていていいと思うわ。上林君も花音ちゃんも気にしていないもの」



 ゆうきが天道さんや的場先輩がいるからか落ち着かない様子である。そんなゆうきになぜか天道さんと的場先輩が答えている。



「ゆうき、こっち座って一緒に話すか?」

「ああ」



 落ち着かない様子のゆうきをこちらに呼んで、三人で会話を交わす。



「永沢先輩もわざわざお祝いにきてくれてありがとうございます!!」

「俺も天道さんのお祝いはしたかったから、気にしなくていいよ。喜一と仲よくしてくれてありがとう」

「ふふ、こちらこそきー君と仲よくしてくれてありがとうございまーす!!」



 ……うん、何で俺と仲よくしてくれてありがとうって、互いで言いあっているんだろうか。

 笑顔でそんなことを言われると、ちょっと居心地が悪い。



「天道さん、喜一と前より仲良くなっているな。驚いた」

「ふふふー、そうですよ。私ときー君は仲良しなのですよ。もしかしたらきー君と永沢先輩の仲よりも仲良しになっているかもしれません!!」

「そうだなぁ……。そんな気もするなぁ。俺ももう少し喜一の家に来れそうならこようかな。もちろん、喜一と天道さんが良ければだけど」

「是非是非。永沢先輩ならいつでも大歓迎しますよー」

「構わない」



 ゆうきももっと俺の家に来たいというので、それに返事をかえしておく。それにしても俺の家の話なのに、先に花音が答えていた。



 花音がいつも通り、ゲームをしたいというのでゆうきも含めてゲームを始めることにする。数人で出来るパーティーゲームを始める。ミニゲームを進めながらやるすごろくゲーム。



 こういうゲームは皆で楽しむと凄く楽しい。

 記憶力を必要とするミニゲームとかだと、花音が有利だった。俺はやりなれているから、コツをつかんでいるものはどんどん進められる。




「きー君、上手かねぇ。流石、私このミニゲーム上手くできんよ」

「でも花音はこっちのものは特異だろ」

「えへへ、そうよー。これだとまけんよー」



 ゲームをしている間も花音は花音で、元気である。



 しばらく俺達がゲームをしている間、凛久さんと的場先輩はなんか天道さんは片づけなどを進めてくれていて、的場先輩はニヤニヤしながらこっちを見ていた。皿洗いや片づけなどは、凛久さんがやると申し出てくれた。一番年上だし、花音の誕生日だからやってくれるといってくれたのだ。




 そうやって過ごしているとすっかり夕方になる。ひたすら花音のやりたいことを聞いていたつもりだけど……なんか、いつもの休日と変わらない感じだった。とはいえ、花音も楽しそうだし良かったと思う。



「では、夕方なので私はそれそろ帰ります」

「俺もそろそろ帰るかな。今日はありがとう。喜一、天道さん」



 的場先輩とゆうきは夕方に帰宅することになった。



「というか、天道さんは帰らないんですか? 花音ちゃんは家が隣だし、まだ帰らなくていいと思うけど」

「俺は喜一の家に泊る!!」

「はぁ? 天道さん、そんな風に迷惑かけているんですか?」

「迷惑などかけていない!! 花音も泊まるしな」



 凛久さんがそんな発言をするわけだから、的場先輩が「なにそれなにそれ」と食いついてきた。毎週のように土曜日は花音と凛久さんが泊まることに今はなっているというのを伝えれば「え、何それやば」となぜか興奮していた。

 本当にすっかり花音と凛久さんが泊まるのも日常と化しているんだよなぁ……。

 そんなこんな話した後、的場先輩とゆうきは帰っていった。




「きー君、お兄ちゃん、今日の夕飯どうすー?」

「花音が食べたいものでいいよ」

「んー、じゃあ、ピザ食べたか!! 一人暮らしだとそうそうたべんもん」

「いいなぁ。じゃあ頼むか。確かピザのチラシあったよな」



 花音はピザを食べたいらしいので、今夜はピザを頼むことにする。凛久さんも笑顔で頷いていた。



「きー君、今日はお祝いありがとー。私、凄い確か誕生日やったよ。きー君の誕生日も祝うけんね」



 そして、花音はそう言って笑ってくれるのだった。


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