買い物に出かける。

「あー……、食うもの冷蔵庫に少ないな。俺、ちょっと買い物行ってくる」

「あ、じゃあ、私も一緒に行きますよ!!」

「……いや、天道と一緒に行ったら色々とややこしいことになりそうだから却下。まだ俺の家にいるつもりなら大人しく何かしてろ。俺が買い物してくるから」

「えー、それなんか悪いですよ」

「そうはいっても天道と一緒に買い物とか、見られたら色々面倒なことになるだろうが……」

「まぁ、そうですけど……」



 一緒にスーパーに買い物に行く気満々だったのか、天道は少しだけしょんぼりとした顔をした。

 そんな顔をされると「ついてきていい」と言いそうになるが、やっぱり天道と一緒に買い物をすると色々とややこしいことなりそうなので心を鬼にする。……本当に犬耳とかの幻想が見えてくるから断りづらいんだよな。



 とはいえ、此処で買い物についてきていいっていうとこのままずるずる毎回のように一緒に買い物とかになりそうな気がするし……。たまにならともかくそんなことになったら絶対に誰かに見られる。



「お菓子とか買ってきてやるから元気出せ」

「本当ですか? お願いします!! あ、でも私の昼食も買ってくれるんですよね? お金は半分は出しますからちゃんとレシート持って帰ってきてくださいね」

「ああ。あと、天道は今日も夜までいるつもりか? だったら夕飯も二人分適当に買ってくるけど」

「上林先輩が構わないなら、居たいです! あ、でも流石に今日は帰りますからね! 昨日、結構早くに寝たので、今日は寝落ちとかしない予定なのです」

「おう。そうしてくれ。じゃあ、ちょっと行ってくる」

「はーい。行ってらっしゃい!!」

「……行ってきます」



 天道に行ってらっしゃいと見送られながら俺はスーパーに出かけるのだった。






 スーパーへの道を歩きながら、立ち止まってスマホを確認すれば一件の連絡が来ていた。



 友人のゆうきからの連絡である。暇だったらこれから遊ばないかというお誘いの連絡だった。

 そういえばゆうきに天道のことは話していない。ゆうきになら話しても面倒なことはなさそうだから、今度機会があったら話しておこう。

 とりあえずゆうきには断りの連絡を入れておく。天道と遊ぶという約束の方が早かったので仕方がない。そしたら明日はどうかと言う話をもらったので、明日はゆうきと遊ぶことにした。




 天道には家に戻ってから言っておこう。ここ数日、毎日俺の家に来ていたから言っておかないと明日も来る気がする。

 スーパーに辿り着いて、買い物かごを手にとってスーパーの中を歩く。昼ご飯はお惣菜とかでいいかと思い至って、色々見て回る。天道はどれがいいのだろうか? と天道に連絡を入れることにした。



『お惣菜買う予定だけど、食いたいものとかあるか?』

『じゃあコロッケと焼き鳥が欲しいです。あとはサラダも』

『種類はどれでもいか?』

『はい。構いません』




 何かのアニメのキャラか何かが『お願いします』と言っているスタンプも同時に送られて」来る。



 自分の分と天道の分の昼ご飯を買って、夕飯は簡単に作ったものでいいだろうとお肉や魚を見た。そして色々と購入していく。



 あとはカップラーメンやお菓子類やアイスを見る。この前、甘い物が好きだと嬉しそうにケーキを食べていたので小さなチョコレートケーキが入ったお菓子などを色々と買いこんでいく。

 ……お菓子やアイスをどんどんかごに入れてしまった。なんだろう、俺、あいつのこと無意識に餌付けでもする気なのだろうか……。まぁ、天道が食べなくても俺が食べるから問題はないが。



 あとは飲み物も買う。



 結構な量になった。一人暮らし以降にこんなに大量に買うのも初めてだ。



 暑い日差しを感じながらマンションへと俺は戻った。



 マンションの扉を開ければ、「おかえりなさい!! 上林先輩!!」と元気な声をあげて天道が俺の事を迎え入れてくれた。

 なんというか、こうして誰かにおかえりなさいっていわれるのはいいなぁと思った。



 俺が袋を三つも持っているのを見て、「わぁ、こんなに買ってくださったんですか。一つ持っていきます!」と一つ持って先に冷蔵庫に向かっていった。

 俺も靴を脱いで天道の後を追う。



 天道が持っていった袋はお菓子類の入っていた袋で、「わぁ、こんなに買ってきたんですか! どれも美味しそう」と天道は目をキラキラさせていた。



「でもおやつはご飯を食べた後ですね。これ、全部冷蔵庫に入れておきますね」



 天道は今すぐにでもお菓子を食べたいと言った様子だったが、そう言いながら冷蔵庫にお菓子をどんどん入れていった。買ってきた物の中の要冷蔵のものを全て入れ終わった後、俺と天道は昼食をとることになった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る