ロリになったアリスちゃん

「あ…れぇ?これどういう状況?」


 以前アリスに言われた事がある。『ショタ化した空に夢の中であったんだけどあれはヤバい。本当に襲いそうになった』と。なに今のわかんない事言ってんだと思ったが、最初に言ってた事がほんの少しだけ理解した。


「すぅ…すぅ…」


「アリスが…ロリになっとる」


 年齢は僅か6歳程か、そんな小さな体になって、可愛く寝息を立てる小さくなったアリス。アリスは俺に欲情したようだが、俺の場合は欲情しなかった。と、いうより。


「ちゃんと布団着ないと風邪引くぞ?」


「んんむっ…」


 アホみたいな保護欲で駆り立てられた俺は、自分がかけていた布団をアリスに被せる。

 だが逆効果だったようで、パチリと目を覚ました。


「んぁ…おはよ…しょら…」


 朝起きたばかりだから呂律が回っておらず、ホワホワとした雰囲気で目を擦りながらそれを言ったアリス。

 クッソ可愛い。


「ぐふっ…」


 俺の精神にダメージが入った。ヤバい、今のアリス可愛すぎる。


「お、おはようアリス…で、良いのか?」


「そだよ〜?なーに言ってんの〜??」


 バフン、と効果音がつきそうな勢いで俺に抱きつく。その姿は俺の頭の中で子猫を連想させる。


「むにゃぁ…やっぱ熊ちゃんより空が1番落ち着く〜」


 何かのぬいぐるみと比較しているのだろうか。だとしても俺が勝っているので悪い気はしない。


「そうかそうか。思う存分抱きつくと良い。アリスにやられるのなら本望だ」


 いつものアリスも勿論好きだ。この上ないほどに。だけど今のアリスが好きじゃないかと言われれば断じて否と答えるだろう。


「でもな、朝ごはん作ってくるから少し待っててくれ。な?」


「ん〜。分かった〜。朝ごはん食べたらいっぱいイチャイチャしよ!」


 あらやだアリスちゃん?外見的にまだ6歳よね?なんでその言葉知ってるの?


………

……


「見て見て空!!ゾウさんゾウさん!!」


「うおっ、そうだな〜。おっきいな〜」


 俺とアリスは動物園に来ていた。アリスが行きたい行きたいと駄々をこねるモンだからね。目をキラキラと輝かせて、ゾウを見てはしゃいでいる。


「空のゾウさんもおっき」


「うんちょっと黙ろうか。それここで言っちゃダメなやつだからな?」


 動物園でそんな言葉は禁止オブ禁止だよ。しかも純粋だから余計たちが悪い。

 そしてその数分後の事。


「じゃあ…ライオンさん!!」


「おっ、次はライオンか〜。アリスも中々勇者だな〜。もしかしたらこのライオンさんがオリを壊して襲ってくるかもしれないのに」


 今も結構純粋なアリスだが、子供のアリスは純粋100%だろうと思って少しだけ脅してみる。顔を青くして「食べられちゃうの?」と涙ながらに言うところを期待したのに…。


「大丈夫だよ!空も夜はライオンさんになって襲」


「うん、ほんっとごめんな?その言葉もタブーなんだわ」


 こいつ油断も隙もあったもんじゃねぇなおい!!怖すぎなんだけど!?こんな小さい子がこんな高度な下ネタ連発するか!?もはや天才の域じゃねぇか!


………

……


「はぁあぁ!!楽しかった〜!!」


「はぁぁ…疲れたぁ…」


 アリスの暴走がやばすぎる。ってか中に未来のアリスが入ってんじゃね?と思うくらいに怒涛の下ネタのオンパレードを止めるのが大変すぎた。

 イルカが交尾してた時なんかとかの状況を察してほしい。人大勢居る中で「見て見て空!交尾してる!」って大声で叫ぶもんだから必死に口押さえてそこから逃亡しましたよはい。


「空…どしたの?目が死んでるよ?」


「あぁ…気にするな」


 保護者の俺がアホみたいに疲れて、子供のアリスが元気いっぱいにはしゃいでいるのは、一般的な家庭に見える。


(まぁ…そうなりゃアリスも一緒に疲れててくんねぇと割にあわねぇけどな)


 俺の隣で手のかかる子供に対して一緒に疲れててくれないと割りに合わない。

 だけど今のアリスにそんな事分かるはずもなく、俺は屈んでアリスと視線を合わせた。


「多分、そろそろ俺は帰らなきゃなんないからさ、ここでお別れだ」


「あ…そっか」


 俺はここが夢だと最初に認識していた。だからそれをアリスに伝えると、何かを察した様に俯いた。泣くか?と思ったが、ギリギリで堪えていた。


「すぐ逢えるから…泣かないもん…」

「そっか。偉いなアリスは」


 ポンポンと頭を撫でて、僅かに笑みを浮かべる。


「じゃあな、少しの間だったけど、楽しかったぞ」


「私も…楽しかった!またでーとしようね!空!」


「おう。喜んで」


 そういった瞬間、俺の意識は光の中に包まれた。


………

……


「空?どうしたの?」

「んっ…あぁ…悪りぃ」


 朝の朝食中に寝落ちしていたことに気が付き、いつものアリスを目の当たりにする。ロリだった頃の時代と比べ物にならないほど胸が大きくなり、その可愛さの面影は残しながらも、最近少しだけ艶という魅力を出してきたアリス。


「アリス、今度デート行こうぜ」

「ふぇあ!?で、デート!?い、行きます!いかせてください!!」


 そんなにがっつかなくてもいいんじゃないだろうか、と思いながら、少し笑う。


「よし、じゃあ動物園にでも行くか」

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