ショタ化してしまった空くん
「っ…わぁっ!ごめん空!寝ちゃって…え?」
私は自分が寝坊したことを自覚すると、漸く目を覚ました。だけど空は私の前には居ない。だけど…この腕の中には人の感触らしきものがある。
「スゥ…スゥ…」
「っ!?!?!?」
そこには、かつて私と遊んでいた5歳程の空の姿があった。体もひとまわりもふた回りも小さくなっているではありませんか。
(な、ななな…なにこれ!?空なの!?)
私がかつての空のことを忘れないはずがない。これは紛れもなく、幼き頃の空だ。
動揺を隠せない私が焦りまくっていると、「んんっ」と小さく声を出し、空がむくりと起き上がった。
「あ、おはよう。アリしゅ…」
(え…!?今…アリしゅって言った!?噛んでる!!待って!!可愛すぎるんですけど!?)
私は我慢ができなくなり、ショタ化した空を抱きしめた。
「ぁああああ!!なにこれなにこれ!可愛すぎるよ〜空〜!!ね!もっかい言って!!もっかい言ってよ!アリしゅって!」
いつもなら抵抗するはずの空が、何故か抵抗せずに受け止めるどころか、逆に私の体をキュッと抱きしめた。
「アリしゅ…こわい…」
「はぁうわっ!」
私の鼻から鼻血が吹き出しかけたけど、なんとか近くにあるティッシュを取って対処する。
(ま、まずい…まずすぎる。この空は危険すぎる…。しかも…あぁ!!服がはだけてる!エロい!)
空が普段着てる服を着ているショタ空に、当然サイズが合うはずもなくだぼだぼになっている。服がはだけててとても私によろしくない状況なのだ。だ、だけどひとまず。
「そ、空…だよね?」
「そだよ…?どうしたの?」
コテン、と首を傾げるショタ空。一周回って最早冷静になる。
(あぁ…襲って良いかな?)
普段の空は甘えをあんまり見せないけど、いざとなったら少しだけ甘える。だけど今の空は、可愛さ全開の甘え放題のショタ空。勿論いつもの空も大好きだけど、今の空も中々そそるものがある。
「…アリしゅ…あそぼ」
「うん!!遊ぼっか!」
あぁっもうほんと……ヤバイ。今の空本当に反則すぎる。
………
……
…
「うううっ…さわさわいやぁ…」
公園に行ったりしてとことん遊んだ後は、お風呂にて、ショタ化した空をお風呂椅子に座らせて頭を洗っていた。
「ダメだよ空〜。そんなこといっちゃ綺麗にならないよ?」
ショタ化した空はどうやらお風呂が嫌いらしい。そういえば幼稚園のお泊まり会でも嫌々入っていた記憶がある。
今の空はお風呂が好きだけど。
「うぅん…でもアリスがやるから許す…」
「……空さん?わたしにも我慢できる範囲と出来ない範囲があるんですからね?」
「ふぇ?」
おっと危ない危ない。本音が出てしまった。
(というかその「ふぇ?」って可愛すぎない!?)
反則ですよ。えぇもう反則ですよ。
そう思いながらお風呂のお湯を空の頭にかける。
「おぼぼぼぼぼ」
「はい。綺麗になったね〜」
どうやら今の空にはかつての記憶はないけど、私という存在は敵じゃないと認識してくれている。どういうことなのだろうか。
(もしかして私…夢の中にいる?)
それが1番有力だ。恐らくは明晰夢という奴だろう。
そう考えているうちに、ショタ空はいつのまにか体を洗い終えて、湯船に浸かっている。
「アリスも入ろ…?」
「うん!入る入る〜!」
そう返事を返してショタ空と同じ湯船に浸かる。いつもなら狭い空間の中で居るからお互いの体があたった心臓がバクンバクンと言うはずだけど、ショタ空は体が小さいからのびのびとできる。
「アリス…好き…」
「っ!?ど、どうしたの?いきなり」
ショタ化した空でも、流石にそれを言われるとドキッとしてしまう。
「大きくなったら…アリスのお婿さんになる…」
アレ?5歳でお婿さんって言葉知ってるの?流石空だねぇ。
「うん、おっきくなったら、空のお嫁さんになったげる。その時は私を幸せにしてね?」
「うん!約束する!絶対、幸せにするよ!」
ショタ空は満面の笑みを浮かべると、私も釣られて笑ったのだった。
………
……
…
り…
あ…
あり…
「アリス。起きろって」
「んっ!?あ、アレ…空?ショタ空は…?」
見回してみるが、お風呂どころかショタ空もいない。そして目の前には、いつもの空が居る。
「何言ってんだ?もしかして夢の話してんのか?」
おっと、鋭いですねぇ。まぁ意味わからない事寝起きで言ってたら夢の中の話だと思うだろうけど。
「た、多分…」
やっぱりアレは夢だった。まぁそりゃそっか。あんなの現実でありえないもん。
「それにしても、ショタ化した空可愛かったなぁ」
そう言った途端、空が急に怒ったような雰囲気を出して、私をベッドに押し倒した。
「なーんか腹立つんだけど?その言い方」
魔王の様な顔を浮かべて、空は私にどんどん近づいてくる。
「え…あ…」
そうでした…。今の空は可愛さが結構抜けたけど、代わりにとっても男前になってたんでしたね。
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