お風呂大戦
「ふぃぃ…つっかれたー…」
大学生となった俺は、飲食店でバイトをやり始めた。だが思ったよりも大変で、毎日疲れ果てて帰り、家の扉を開くと、そこにはエプロンを身につけたアリスの姿があった。
「ふふん、ご飯にする?お風呂にする?それとも…わ・た・し?」
ご飯、アリスの作ってくれたご飯を食べるのは至上の喜びである。だがアリスと共にお風呂に入ればどうなる?それも幸せだ。そして3つ目。これはもういうまでもない。
「よし、風呂にする」
「むぅっ…」
選んだのは2つ目。だが、3つ目に力を入れていたんだろうアリスは顔をリスのように膨らませて居る。
「勿論アリスと一緒だ」
「え!?ホントに!?やったぁ!!」
子供のように喜ぶアリスを見て、俺も思わず笑みが溢れるのだった。
………
……
…
「なぁ、俺いつからこんな変態になったんだ?」
浴場で、アリスに背中を流してもらう。以前なら辞めろ!と理性を押し殺して辞めさせていたが、今となっては1秒も経たずに頼んでしまう。
俺は…いつからこんな変態になった?
「えへへへぇ、私にだけの変態なら文句は無いよ〜。空の全部を受け止めてあげるから」
「ほんっと…お前っていい女すぎて逆に怖いな…」
アリスはいい女だ。これ以上なく。だからこそ怖すぎる。俺に何も見返りを求めてないところも。
「ふふっ、ありがと。お礼にこれしてあげる」
「ぬぁ!?」
思わず悲鳴を上げてしまう。なんとアリスは、バスタオル一枚越しで俺の背中に抱きつき、巨大な胸を押し付けてくる。
(ヤバイヤバイヤバイヤバイ!!どうすんだよこれ!!!)
その瞬間、頭の中でカーン!とボクシングのゴングの様な音がが鳴り響いた。
………
……
…
『ぐへへへへぇ、2回目の登場だぜぇ』
て、てめぇは悪魔の俺じゃないか!!
『気にするこたぁねぇよ空ぁ。もう公認なんだ。ガバッ!と襲っちまえば良いんだよ!アリスもそれを望んでるはずだ』
そ、そんなケダモノみたいな事出来るわけねぇだろうが!
『そうだよ空君』
お、お前は!天使の俺!そうだよな!お前もその意見に賛成…
『アリスちゃんが望んでることをしてあげるのが、君の役目なんじゃ無いのかい?』
まさかのお前そっちサイドなの!?理性の俺はどこ行ったのかなぁ!?
『さぁ空ぁ、一思いにやっちまいな』
『そうだよ空君』
ズイズイと押し寄せてくる悪魔2人を、俺は頭から取り払うことに精一杯だった。
「空ぁ?もしかして興奮しちゃったのかなぁ?空も案外ドスケベだねぇ?」
耳元で囁くアリスの声。その声を聞いた途端、ブチン、と何かが切れる様な音が脳内で響き、俺はアリスの方を向き、両肩を掴んだ。
「ふぇ?空…?もしかして…怒った?」
「あぁ、超怒ったぞコラ。ちょっくら寝室来いや」
その翌日、俺とアリスは学校を休むことになるのだった。
理由は…聞かないでくれると大変助かる。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます