衝撃の発表!!
「うぉぉぉぉおおおおお!とうとう俺らも卒業かよぉぉおおお!!」
顔面をくしゃくしゃにして泣きじゃくる隼也に、俺、アリス、椎名は呆れた視線を向ける。
「あのな、別に永遠の別れってわけでもねぇだろ」
「うるせぃ!!なんでお前はそんな平気そうなんだよ!普通高校卒業は泣くだろ!?」
そう、俺らは先程卒業式を終えたばかりである。校門前に立って駄弁っているが、1人だけ穏やかじゃない奴が居た。
「うるっせぇ!!こっちくんじゃねぇ!!」
ウンザリしたように毒を吐いているアキラの姿。その横には多数の女が存在している。
「え〜?そんなこと言わずにさ」
「そうそう!ご飯とかどうなの?」
「いかねぇよ!!興味ねぇわ!!」
何故アキラがこんなにも人気なのかと言うと、それは3年最後の選手権にあるらしく、なんとサッカー部は決勝で敗退し、全国二位となっている。
そのヤバイ成果を上げられたのは、アキラの鉄壁の守りにあった。その試合で一躍有名となったアキラは、超有名のプロチームからのスカウトが来たそうだ。そのせいで女子からモッテモテのハーレム野郎となっている。
「ま…流石に紅蓮には勝てねぇよな…」
優勝は紅蓮のとこの学校だ。そのことを以前電話で話したのだが、何度も冷や汗をかいたとのこと。バカみたいな努力が、超天才の紅蓮を追い詰めたのは素直に凄いと思った。
「あぁ!?聞こえたぞ空!こっからあのクソ赤髪にリベンジだ!!」
アキラがプロに行った様に、紅蓮も当然のようにプロに行った。しかも外国の。やっぱアイツすげぇわ。
「おうそうだな。だけどとりあえずそのガラ悪い喋り方辞めたらどうだ?」
「うるっせぇ!自分は曲げたくねぇ!」
とんでもない努力の代わりに、アキラは様々な事を失ったようだ。かわいそうに。
「というか空とアリスちゃんはよぉ、これからどうすんの?」
隼也から投げかけられた当然の疑問。あぁ、そうか。こいつらまだ知らないんだった。
「私達は同じ大学に通うよ。それで2人で同棲始めるんだ〜」
「ぇえぇぇぇえええ!?同棲って…マジ!?」
アリスが言ったことが信じられないといった風に、俺に顔を向ける。コクンと頷いてみると、顎が外れんばかりに開いていた。
「アリスが大学は遠いし、俺に思う存分料理を振る舞いたいし、2人の時間を大事にしたいからっつう理由でやるんだよ」
「へ、へぇ…」
隼也が漠然とした返事を返すが、椎名がアリスに近づく。
「で?本音は?」
「2人っきりで思いっっっっきりイチャイチャ出来るからです!!!!」
「うん、正直でよろしい」
そこは俺も思ったしな。確かに両親がいる家だとどうしても行動に制限がつく。だけど同棲をすれば、そんなのは関係がなくなってしまう。
「だって仕方ないじゃん!!私の欲望曝け出したら凄い事になるよ!?私がリビングに立って裸エプロンとかやって空を欲情させたいなんて言ったら引くよ!?私がお母さんの立場だったら引くもん!」
「ここ一応校門前だからそんなこと言うな!」
裸エプロンなんて単語使うんじゃねぇ!!しかもアリスみたいな美少女が!!
「と、兎に角、そんな訳だから同棲を始めようって訳だ」
「ほーん、成る程ねぇ。まぁ俺らもひと段落したら遊びに行くわ」
そう言って、隼也はカバンからとあるものを取り出した。
「カメラか」
「そ。最後はみんなで写真撮ろうと思ってさ」
最後にこういったものも悪くない。
学校の名前が見えるようにして、俺たちはすぐに固まり、全員で写真を撮った。
「ふぅ、じゃあ空、これからどうする?カラオケでもいっちゃう?」
「いや、色々引越しの準備とかあるからさ、それ終わったら頼むわ」
「というわけで我々はこれでドロンです!2人とも、また遊んでね!」
そういうと、2人も無理に引き止めようとせずに居てくれた。2人に「じゃあな」と告げて、校門からどんどん離れていく。
「いろんなことがあったよねぇ…」
「あぁ」
「最初は空も警戒して、私の事結構突き放してたけど…今となったら…ねぇ?」
ニヤニヤしながら俺に視線を向ける。
「そうだな。今となっちゃアリスに依存してるし、今でも抱きしめたいのを我慢するほどヤバイ好意を持ってる」
「ぷぷっ、作戦大成功。空は私の虜になり、私は空に依存しましたとさ、めでたしめでたしの巻」
本当にめでたしだ。アリスは俺が居ないと、俺はアリスが居ないと過去を乗り切れなかっただろうしな。
「そういやぁよ、クリスマスん時にやった勝負、覚えてるか?」
「覚えてるよ。どっちがより幸せにできるかだよね」
「そうだ。今んところは…引き分けだ」
悔しいが引き分けなのだ。ほんとうに悔しい。マジで悔しい。こりゃもっとアリスを幸せにするしかねぇ。
「ふん…なかなかやるねぇ空」
「あぁ…だから大学じゃ挽回してやるよ…」
「望むところだね!!」
そう言って、俺たちは笑い合った。
次回・大学編
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