1月30日はアリスの誕生日

1月も終わりに差し掛かって来たこの季節、俺はショッピングモールで頭を悩ませていた。

今日は……アリスの誕生日だ。

ちなみに俺が12月24日、アリスが1月30日なのだ。


(しかし…どうすっかな…)


アリスに何を送ればいいのか迷う。アリスは……。


「ぶふっ!」


思い出すだけでもやばい。あれは…裸リボンだったな…。来年はもっとすごいのをやるとか言ってたが、あれよりやばいのがあるんだろうか。


「いや…あれは真似できねぇわ…」


アリスの様な事は女だから許される。男の俺がやっても気色が悪いだけだろう。


「…………」

「空?何してるの?」

「ん?」


悩んでる最中、声をかけてきたのは隼也の彼女である椎名だった。


「いやな、アリスの誕生日に何を送ればいいのか迷っててな」

「空なら何を送っても喜ばれそうだけど…というか、俺がプレゼントだ!とかやってみたら?」

「やったら最後、俺の貞操が奪われるぞ」


プレゼントである以上俺に拒否権は無い。勿論アリスは俺が嫌な事はやらないだろうが…アリスに襲われるのは……正直嬉しい…のでもしかしたらそれを察してやっちゃうかもしれない。


「あ…なるほど。じゃあこういうのは?」


………

……


「ふーんふふーんふーんふふーん」


私は空の家、空の部屋、空のベッドの上で空の写真集を眺めていた。いやぁこんな事出来て私は幸せ者だよ〜。


「はっ!マズイ!こうなったら幸せの勝負が〜!!うう〜っ!!」


空と私はクリスマスに勝負をした。それは、どちらがよりお互いを幸せに出来るか。正直私は…負けてると思う。


「くそっ…!こうなったら空が帰ってきた時にキスで出迎えてやる!!」


そう決意した私は、階段を登ってくる音に気がついた。


(ふっ、甘いねぇ空。これからどんな事されるかもしれないで…)


ドアの前で待ち構えた私は、ニヤニヤと笑みを浮かべる。ドアノブに手が差し掛かり、扉が開く。そしてその正体が空だと確認すると……


「くらえ不意打ちこうげ…あれ?」


突撃しようとした私だったが、空の表情を見て少し固まった。


「ど、どうしたの空。そんな顔赤くして…まさか…風邪!?直ぐ横になって!!さぁさぁ!!」


「ちょっ!違う!違うぞアリス!!」


そう言って空は否定してきた。だけと…なんでそんな顔が赤いのかはまだ説明されてない。


「あぁクソッ!いや…喜ぶのかわからなかったからよ…取り敢えずこれやるよ」


そう言って空が差し出してきたのは『なんでも言うこと聞く券[R-18は却下]』と書かれたものだった。


「……」


「あー…まぁなんだ。お前ブランドものとか興味なさそうだしさ、椎名に相談したらこんなんがいいと思うって言われたから…」


椎名ちゃん……あんた一生の友達だ!!!今度スイーツバイキング奢るからね!!!


「空…」

「っ…」

「嬉しい。ありがとう」


そこはちゃんと言葉にすると、空は安堵した表情を浮かべる。



さて、ちょっとしたシリアスシーンはこれで終了。


「でもねぇ空〜。R-18指定はダメだけどさぁ、15ならギリギリオーケーなんだよ〜?」


「へ…?あ、アリスさん?何言ってるのかな?」


「要するにだねぇ…ピーーはダメだけど一緒にお風呂入って洗いっこしたりとかマッサージだとか1時間抱き合ってキスしたりとか…アリなんだよ?」


「無しだわ!!!おもっくそ18指定な奴じゃねぇか!!」


「えぇいうるさい!!ギリギリオーケーなんじゃい!!あわよくばピーーしてプーーーした後にピーーーーしてピーーーしたいのにそれが出来なかったから我慢してるんだよ!?」


全く、空はそれくらいわかってほしい!!それを我慢してこれをやってるのに。


「何言ってんのお前!?」


「さぁ早く着替えて空!!一緒にお風呂入るよ!!」


空の服を掴んで全力で脱がそうとする。


「おいやめろやめろ!!ヤバイって!!服破けるって!!」


「もうこの際破っても私が弁償するよ!!早く脱げぇぇえい!!」


後日、空の家から悲鳴が聞こえたという苦情が入ったのは、また別の話。

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