アリスちゃんはヤンデレに近いです
「空ー!!あけましておめでと〜!!さっそくだけどお年玉ちょうだい!!」
「マジでいきなりだな…」
起床すると、逸早く起きていたアリスがそんなことを言う。しかしお年玉か…。財布の中にいくら入っていただろうかと確認するためにベッドを降りようとする。
「アレ?空何してるの?」
「え…?お年玉だろ?」
「そうそう。だけど私と空のお年玉は少し違うのです。つまり…」
アリスは俺を抱きしめながらキスをした。数秒間それを行い、笑みを浮かべながら言う。
「こういうこと」
「っ…たく」
………
……
…
「ふぉおおぉおお!!これが初詣という奴ですか!!凄い人だね空!!」
「そうだな」
長年アメリカに居たアリスにとって、初詣はかなり久々か、もしくははじめてのものだっただろう。俺からしたら人がごった返してるし、そもそも神をあまり信じてないので関心は湧かない。
(だがまぁ…)
今年初めてのアリスとのデートというのは、中々に悪くない。いや寧ろ喜んでるけどな。
「よし、じゃあ早速参拝するか」
「うん!いこいこ!!」
長い順番を待って、漸く俺たちの番が来た。パンパンと手を合わせて、心の中で呟いた。
(アリスが元気よく過ごせますように)
神なんて信じてないが、そう願うのは悪いことでもない。願いを終えた俺はアリスの方を向くと、直ぐに終わった様子だった。
「何頼んだんだ?アリス」
「えへへ〜。空が健康に居られるようにって!後空がこの先もずっと私を好きで居てくれますようにっ!」
「前者はともかく後者は神様に頼む必要無かったんじゃないか?」
だって俺がアリスを好きじゃない姿なんて想像がつかないしな。この半年間いっしょに居るが、恋人特有の倦怠期とかそんなの殆どない寧ろどんどんアリスに依存して行ってる気がするし。
「っ…そういうこと平然と言う……空はズルい」
顔を赤らめ、口を尖らせてそう言うアリス。なんだか面白いな。
「おーいコラ。お前らこんな場所でイチャつくなよ」
「ん?ようお前ら。久し振りだな」
俺らの後ろにいたのは椎名と隼也の2名。どうやらこいつらも初詣に来たようだった。
………
……
…
「アレ?空ってば遅くない?」
私はじゃんけんで負けてジュースを買いに行った空が十分経っても返って来ない事に少し不安感を覚えていた。
「トイレにでも行ってんじゃねぇの?アイツがアリスちゃんおいて帰るとは思えないし」
「私ちょっと見て…っ!?」
見てこようと思って走り抜けようとした時だった。空は困ったように3人の女子達に囲まれていた。
「なっ…ななっ…!」
「おおっ…すげぇな空の奴。逆ナンたぁ始めて見た」
どう見てもアレはナンパ。だけど男が女にやるのではなく、女が男にやる逆ナンパという奴だった。
「確かに空って顔は結構イケメンだしね」
そうだった…。空は意外とハイスペックなのだ。勉強も出来る、運動も出来るし、182センチと中々の高身長でイケメン。これだけ見ればとんでもない優良物件なのだ。
「むむむむむぅっ…」
勿論私はそれで空に惹かれたわけじゃない。私が空に惹かれたのはその優しさだからだ。
だから…何も知らないあの女の人達が正直言って気に食わない。分かりやすくこの感情を言うなら『嫉妬』という奴だ。
「あっ!ちょっ!アリスちゃん!?」
隼也が私に声をかけるが気にしない。空に向かって走り抜けて、空の腕に飛びついた。
「えっ…だ、誰かの女」
「あはは!この男の人の彼女です!悪いですけどこの人は私の永久指名ですので近づかないでくださいね!」
勿論空の事は信じてる。ほかに女を作ることなんてないと思ってる。だけど…それでも気に食わない。空が他の女の子と喋ってるのは。
「ふーん…」
「彼女持ちか…」
「結構なイケメンだからしゃあないよ〜」
そう言って、ナンパグループは離れて行った。
「あ、アリス…ありがとな。助かったわ」
「………ねぇ空〜。私今スッゴイ不機嫌だからさぁ、家帰ったら…ね?」
勿論多少は不機嫌だが、スッゴイは盛りすぎた。だけど空に存分に甘えさせてもらう権限を得たので、よしとしよう。
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