アリスちゃんはイタズラしたい
「うぇへへへへぇ…空の指輪ぁ」
俺がプレゼントした指輪を眺めながら何度も幸せそうな笑みを浮かべる。それをやられると、俺もプレゼントしてよかったと思うが時々恥ずかしさが出てきてしまう。
「ん?空何してるの?」
アリスが居るのはリビング。対する俺はダンボールを運んで部屋から出てきたところだ。不思議に思ったんだろう。
「もう大晦日だからな。大掃除だ」
「おぉ!日本の伝統文化だね!!私もやる〜!!」
そう言って、アリスと俺の共同作業が始まったのであった。
………
……
…
「ん?アリスどうした?」
机の奥を掃除していたアリスが、何かを持って固まっている。不安に思ってそれを聞くと、小さく呟いた。
「『お姉さんの体はどうかしら?』」
「っ!?」
嘘…だろ…家にあったお宝は全部処分した…筈…いや!!そうだ!!これ隼也が家で匿ってくれって言って強引に受け取らされた奴じゃねぇか!!アリスに見つかんない様に奥に隠してたんだ!!
「ち、違うぞアリス!それは隼也が強引に…」
「っっ…」
プルプルプルと震えながら俺の方に振り向く。顔を赤く染めて、ぷっくりと膨れ上がった頰。正直言って写真に収めたいレベルで可愛い。
「もう!!なんでこんな本持ってるの!?空は私が居るから良いじゃん!」
「これ隼也のだ!!後でアイツの家のポストに送り返してやるよ!!」
もう許さん。こうなったら親にエロ本が見つかるという超絶ド級の最悪を味わうが良い。
「な、なーんだ…隼也のか。おかしいと思ったんだ〜。今の空が私以外で欲情するとは思えないし」
「………」
強ち間違いでもないので何も言い返せない俺であったが、少しだけ複雑な気持ちになった。
「うおっ…す、凄いねコレ…」
「何を見てんだ!こんなもの見ちゃいけません!破廉恥ですよ!」
「別に良いじゃん。3ヶ月にこれするんでしょ?なら予行演習だよ」
「そ、それは…早すぎやしませんかね…?」
3ヶ月後、つまり受験が終わって入学が決まった時に一線を越える。それは早すぎるんじゃないだろうか。
アリスは俺をベッドに押し倒し、跨った。
「今時の高校生は…結構やってるらしいよ?」
アリスが耳元で囁く。ゾクッ!と男の本能が刺激される様なナニカが走る。
「ア…」
「なーんて、冗談」
アリスはすぐに俺から離れた。俺顔を上げると、そこにはイタズラを成功させた子供の様な笑みを浮かべたアリスが居た。
「ふっふーん。空って案外お子ちゃま?」
その言葉にカチンと来た。
「へぇ?俺からのキスで動揺しまくるアリスが俺の事をお子ちゃまとかいう権利があるのかねぇ?」
「むっ」
それは一触即発の喧嘩に発展し、火蓋が切られる。
アリスは声を荒げながら言葉を放つ。
「良い度胸じゃん!!じゃあ空のキスで私が動揺しないってところ見せてあげるよ!!」
「おうやってやらぁ!!!」
2秒後、俺らは恥ずかしさのあまり悶絶したのだった。
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