クリスマスイブは空君の誕生日です

「うーむ…悩みますなぁ…」


私はとあるショッピングモールの中の店を片っ端から調べていた。もう12月も終わりの時期に差し掛かってきた。そして私の中にはとある日付が頭を支配する。


12月24日。


それは空の誕生日であると同時に、クリスマスイブなのだ。え?なんで空の誕生日を知ってるのかって?そりゃ私が空のことで知らないことなんてないよ〜。血液型から趣味まで、あらゆるところまで調べ尽くしてるのが私、アリスちゃんですよ。


「あぁ?お…アリスじゃねぇか。何してんだよこんなとこで」


「ん?あれ…紅蓮?なんでこんなとこに?」


大阪に居る筈の紅蓮がなんでこんな場所に居るんだろうと不思議に思う。


「ここで練習試合があったんだよ。13対0で全く相手になんなかったぜ?」


ニッシッシ、と笑いを浮かべる紅蓮。本人は勝ったとは言ってないが、空とほぼ同じ性能を持つ紅蓮が負けるとは思えない。


「あはは…相変わらずだね…あ、そうだ紅蓮。そろそろ空の誕生日って、知ってるよね?」


「ん?あぁ、そういやそうか。なんだぁ?アイツに誕生日プレゼントでも送ろうってか?」


流石紅蓮だ。勘が良くて助かる。


「そうなんだけど…何を送れば良いのか…」


分からない。だって空はブランド品や貴金属類など全く興味が無いんだから。


「ふーん…空はお前が送った奴ならなんでも喜ぶと思うんだがな?」


「で、でも…空にはいろんな意味でお世話になってるし…どうせなら1番喜ぶものを…」


そう、本当にいろんな意味でお世話になっているのです。


「うーん…ならよ、こんなのはどうだ?」


………

……


「うぉぉおぉおぉりゃああああ!!!」


俺は冬休みの宿題を1日で終わらせてやろうと全力を尽くしていた。今日は俺の誕生日だが、そんなこたぁ関係ねぇ!!


(ううっ…つかアリスも何処か行っちまったし…なんだ?まさか…他に男でも…!?)


その考えが脳裏によぎった瞬間、思考が停止する。


(いやいやいや有り得ないな。うん。アリスを信じろ)


だけどクリスマスイブに同棲中の彼女から居ないという心境は…かなりキツイ。勉強に身が入らないレベルで。


「ん?」


コンコンコン、とノックの音が聞こえる。普段のアリスなら、いや家族でもノックはしない筈なのになんで今日に限って、と疑問を浮かべる。


「誰だ?」


流石に扉の向こう側の人間は分からない。すると、扉が開く。


「ぶふっ!!」


そこには赤いリボンで全身を纏ったアリスの姿。それ以外は全部生まれたままの姿だった。


「あ、アリスさんや…?何してんのかな?」


顔を真っ赤にしてプルプルと震えているアリスは、小さく言葉を出した。


「ぐ…紅蓮が…空を喜ばせるならこれだっ…て」


その恥ずかしそうな顔はとても綺麗で、ここが俺1人なら悶絶するレベルのかわいさだった。


(紅蓮…俺は初めてお前とダチで良かったって思ってるよ…)


今まで女を垂らし込むクソ野郎としか思ってなくてゴメンな…。今度からはクソ野郎に改名するよ。

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