初めての喧嘩+いつものイチャつき

ハロハロ〜。俺ちゃんの名前は河原隼也。俺の友人に空ちゃんとアリスちゃんってのが居るんだけど、この2人すんげぇ仲良いのよ。喧嘩してるところなんて見たことないくらい。なのになんで…今日は……。


「あぁ!?なんでだよアリス!」


「そっちこそ!!なんで私の言うこと聞いてくれないの!?」


教室で口論を繰り広げる2人。今まで見たことのない2人に、思わず口を突っ込む。


「はいはい落ち着いて2人とも。なんで喧嘩してんの?」


「隼也か…聞いてくれよ!アリスの奴父さんが買ってきたプリンを…」


勝手に食べたのかぁ…そうだよなぁ。空甘いもん好きだからな。そりゃ怒るけど流石に大人気無いぜ?


「食べないんだよ!!甘いもんはアリスが大好物なのによ!!」


「あ、そっち!?」


そっちなのね!?俺ちゃん衝撃だよ!つか…あの甘いもん大好物の空が食べずに譲るって…相当ヤバイぞ。


「だから!アレは空が食べてって言ってるじゃん!私は空が満足すればそれで良いの!」


「いーやダメだね!これはアリスが食うべきなんだよ!好きな女の大好物横で食べるなんて事はしないんだよ!」


前言撤回。やっぱ超が付くほどのバカップルだわこの2人。


「こ、こんにゃろ…」


「むむむむむむうっ…」


2人は睨み合うが、俺からしたらじゃれ合いにしか見えない。つかイチャつきすぎじゃねぇか?2人とも。


「ふん!空な…空なん…て…ふえぇ…」


「っ!?」


すぐに涙目になったアリスちゃん。何があった!?


「ごめんなさい…空なんて知らないって言おうとしちゃった…そんなん無理なのに…」


「あ、あぁ…す、すまんアリス。俺も言いすぎた。な?どうだ?ここは半分にして食べあうというのは…な?」


おぉすっげえ…。空が優しくしてるとこなんて久し振りに見た。流石アリスちゃんだな。


「うん…そうする…!」


何なんだ…この2人は。


………

……


「はい空。あーん」


「あんっ…美味い…」


アリスから食わさされるショートケーキ。それを口の中で噛むと、とてつもない旨味が広がってくる。

このショートケーキは俺らが買ってきたものである。仲直りの証として。


「えへへぇ、じゃあはい。次は空の番」


さっきまで俺が咥えていたフォークを渡して、今度は俺がアリスにケーキを食べさせる。


「ん〜!空が食べさせてくれたケーキは格別だねえ…」


「そりゃどうも。ん、アリス」


「ふぇ?」


「じっとしてろ」


そう言ってアリスの頰に付いているクリームを指で取り除き、クリームを食べる。


「ん、取れたぞ」


「えへへ、ありがと。じゃあ私からもお返し」


そう言うと、アリスは俺の後頭部に手を回して唇を重ねてきた。それは単なるキスだったが、俺にとってはかけがえのないものだった。


「んっ、ぷはっ…へへ」


子供のような無邪気な笑顔を浮かべる。それを見ると、無茶苦茶にしたくなるのは男の本能だろうか。

その感情を押し殺しながら、俺とアリスは今日も2人で寝るのだった。

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