ハロウィンコスプレパーティー
「トリックオアトリート〜〜!!お菓子をくれなきゃイタズラしちゃうぞ!!」
朝起床すると、魔女のコスプレをしたアリスがベットの横で座っていた。俺は瞬時に頭を冷静にさせ、強引にアリスを抱きしめる。
「ふぇあ!?」
「イタズラしていいからイタズラさせろ」
餓死寸前で食べ物吊るされたら食らいつかない方がおかしい様に、条件反射でアリスを堪能する。
「ちょっ、ちょっと待って空!そ、その…う、嬉しいんだけど……こ、心の準備がぁ…」
抱きしめたらわかる体温がどんどん上昇していき、顔から湯気を吹き出し始める。
「……嫌か?」
「ははっ…私が空に抱きしめられて嫌な訳ないじゃん。というか、その真逆の超嬉しいって感情だよ」
こうして約20分の間、俺とアリスは抱きしめ合うのだった。
………
……
…
「で?これは?」
「えへへ、買っちゃった」
様々なコスプレ衣装をハンガーにかけるアリス。つかこれ…全部でいくらしたんだ?まぁ社長令嬢のアリスにはあんまり関係ないだろうけど。
「私もコスプレします!だから空もコスプレしてください!!」
「良いだろう」
直結する。だってアリスがコスプレした姿が見れるんだぞ?俺がコスプレするくらいでそんな宝物が観れるのなら喜んでやってやる。
「じゃあまずは、よいしょっと」
「ぶふっ!」
着ていたシャツを脱ぐと、アリスの下着が露出する。あ…やば…鼻血が…。
「な、何してんだアリス!」
「え〜?別に前もお風呂入ったじゃん」
「アレはお前が強引にやったんだろうが!つか、早く服を着ろ!」
後ろを向いてそれを急かすと、「はーい」と声が届く。ほんの少し…ほんの少しだけ…名残惜しかったけだ仕方がない。
「じゃっじゃーん!サキュバスのコスプレ〜。どうだ〜?似合うだろ〜?」
振り返ると、胸を大きく露出して悪魔の様なコスプレをしているアリス。
「……」
っぶねぇ!!襲うとこだった!!なんだのそのコスプレ反則すぎだろうが!!ざけんじゃねぇよこんちくしょう!!
「どう?かわいい?」
「かわいすぎて死にそうなくらいにはなってるよ…」
もうホント…ヤバイっすわ。なんで俺なんかの彼女になったんだろうって思うくらい可愛い。
アリスが女の武器を自在に使えば、世界の大富豪だって落とせるんじゃないだろうか。まぁ等の本人はそれを全部俺に向けてくれてるというのは、本当にありがたいことだ。
「ふふーん。じゃあ次は空、お願いね〜」
「へいへい」
適当にコスプレ衣装を引っ張って部屋から出ようとすると、手首を掴まれる。
「うぉっと待ったぁ。ここで着替えようか」
目を野獣の様にギラつかせて、舐め回す様な目で見てくる。それに呆れを含んだ目を向ける。
「お前さ…俺の裸が見たいわけ?」
「何を当然のことを言ってるのかな?私が見たいのはその先だよ。恥じらいながら服を着替える空を見るのが良いんじゃん」
「わかんねぇよ!!予想の斜め上行きすぎだろ!」
予想の範囲をぶち破る返答が帰ってきた。ヤバイ…アリスがどんどん変態化していく。あとでなんとかしないと。
「ほらほら〜。着替えなさいよ〜」
「っ…だぁ!!もうわぁったよ!!」
………
……
…
「なんだこれ。悪魔?」
これは悪魔のコスプレだろうか。ヒラヒラとするマントを邪魔だと思っていると、呆然としているアリスが目の前に飛び込む。
「アリス?」
「空。少しドスの聞いた声で『お前の血を吸わせろ』って言ってくんない?」
「いや…別に良いけど」
特に断る理由もない。中学時代演劇部の助っ人としてやっていた俺の演技力の見せ所だ。
「アリス、血ぃ吸わせろ」
少しセリフを変えた。アリスにはこの方がいいんじゃないかと思って配慮したんだけど……
「ぶはぁっ!!」
「うわぁっ!!鼻血吹き出しやがった!」
鼻血を漫画の様に吹き出して、床を血で染める。
「ぐっ…ぐっふっ…これ…やばいね…もはや兵器だよ」
床に四つん這いになって倒れているアリスを介抱しようと手を伸ばす。
「ほら、何やってん…ぶっ!」
四つん這いになったことで、胸がより強調される体制になっている。思わず顔を赤らめると、それに気づいたアリスは笑みを浮かべる。
「ふふーん。空も男の子だもんね〜。そんなこと考えちゃうよね〜」
「うるっせぇ!!悪いか!」
こうしてわちゃわちゃと喧嘩をしながら、コスプレパーティーは約4時間続いた。その際、俺の部屋が刑事も真っ青の血塗られた部屋になってしまったのは、言うまでもない。
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