後日談

30分の時間で、俺が決めた得点は18点、紅蓮が決めた得点は13点。合計31点が俺らと得点だった。

対する西園寺達のチームは0。一点も決めさせることなく試合を終えた。


「クソが!!点数負けたよ畜生!!」


紅蓮が地面に愚痴を放つ。何点決められるかの勝負で、無事俺が勝ったことで昼飯は奢ってもらうとしよう。

だけど、その前にやらなければならないことがある。


「幻滅したか?」


俺はコートから出た後アリスにその質問をする。

俺がやった事は間違いなく悪だ。自分の彼女を取られようとして、勝負して、相手の心を粉々に砕いたんだから。それは決して正義ではない。過剰防衛が過ぎるものだと自覚していたから質問をした。


「幻滅?まさか、私がそんな事する筈ないでしょ?」


いつもの天真爛漫な笑顔とは少し違う、何処か暗い感情を含んだ声。この声はそう…アリスと俺が久しぶりに再会して、アリスが見られたくなかった部分が見えた時と同じだ。


「空が私の為にやってくれたことを否定するなんて事は絶対にしない。それが例え、人を殺すことであったとしてもね」


その時、林間学校でのことが脳内にフラッシュバックする。あの時俺は…アイツを殺しかけたからだ。


「だから空も…私を否定しないでね?」


「あぁ」


俺は力強く頷きながらそう言った。


「けっ、羨ましいねぇ。決して裏切らない関係ってのは…すげぇいいな」


「紅蓮も女引っ掻き回してねぇでとっとと恋人作ったらどうだ?その点だけならお前も西園寺と大差ねぇぞ」


そういやこいつ文化祭の時にアリスナンパしかけてたしな。でもこいつを叩き潰すのは無理。こう見えても頭の回転は早いし運動能力も俺とそう大差ないしな。


「バーカ、俺は女をコレクションとは見てねぇからちげぇんだよ。それより、西園寺ってやつこれからどうすんだ?」


学校には間違いなく居づらくなるだろう。だから1番考えられるのが転校という線だった。


………

……


翌日学校に行くと、案の定西園寺の席が消えていた。アイツ…一体何しに学校に来たんだろうか。まさかアリス1人のためにワザワザ転校してきたのだろうか。


「ま、いいや…」


そこに大した関心も興味も無い。あるのはアリスを守れた安堵感だけだった。

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