初体験
「うぉおおおおおお!!あのアリスに恋人が!!俺は、俺は嬉しいぞおおおおおぉお!!」
アリスの父であるリオンさんは、椅子に座って俺とアリスと対面していた。すると目元に涙を浮かべて号泣しだした。
「ちょっとパパ!!泣かないでよ空が引いちゃうじゃん!!」
「ううっ…だって…だってなぁ…あの頃のアリスは見てられなかったからな…空君!!」
「は、はい…!」
すぐに俺に語りかけられ一瞬体が硬直する。肩をガシッ!と掴まれて、涙やら鼻水やらをだしながら俺に言葉を放つ。
「ありがとう!!ありがとうな!!アリスの恋人になってやってくれて!」
「なってやったんじゃなくて俺がなりたいと思ったからなっただけです」
そこは否定したい。それなら俺がしぶしぶ了承したみたいじゃないか。
「ぅおおおおお!!そうかそうか!!君はいい子だなぁ空君!アリスから話はたくさん聞いてるよ!今日はゆっくりしていくといい!!」
「は、はぁ…」
この言葉の端々に!マークがつきそうなところはアリスにソックリだな。ソフィアさんの性格とは真反対だから、多分この人の性格を受け継いだんだろう。
「あ、そうだ空君。空君は今日どこで寝るか決まってる?なんなら私の部屋で寝る?」
ソフィアさんからとんでもないことを告げられ目が点になる。すると当然のようにアリスが机を叩く。
「ママ!!怒るよ!?空は私と一緒に寝るの!!」
「え!?嘘だろアリス!?」
そう驚くのは俺じゃなく、アリスの弟であるジークだった。あぁ、懐かしいなこの反応。俺も昔ならこの反応してたなぁ。
「ま、そうなるか」
「え、いやいやいやいや!!良いのかよ空さん!こいつ、マジモンの獣だぜ!?連絡するときも空さんのことばっかだし、空さんの写真かき集めてる変態だぜ!?」
「知ってる。その写真飛行機で500枚達成したんだってよ。めでたいな」
俺の寝顔をついつい10枚撮って達成したらしい。アリスが日本に来てから約5ヶ月しか経ってないのによくそんな数集めたモンだ。
「空さんダメだ!!アンタ洗脳されてるよ!このダメ姉貴に洗脳されてるよ!」
洗脳?俺は洗脳されてないぞ?ただ単にアリスが好きなだけだ。
「ささっ、じゃあ空は私と一緒に部屋に行こうね〜」
………
……
…
「はぁ…はぁ…はぁ…もっと…空…」
アリスの部屋中は、花の様な綺麗な香りを放っていた。その部屋の中でベットに仰向けに倒れているアリスは、顔を赤くしていた。
「はっ、すげぇな。もう虜になってんじゃん」
「だって…空のが…気持ち良すぎるのが悪いんだもん…」
「ま、そうだな。この手に関しちゃ結構自信があるんだ」
そう言って、俺は再びアリスの背中に手を回し、
「ううっん!!はぁ…気持ちいい…」
俺は10時間ものフライトで疲れたアリスの背中をマッサージしていた。言葉だけ聞けば、いやらしいやつと勘違いしたやつもいそうだけどな。
「空ぁ…もうダメ…蕩けるぅ…」
「ワザと色っぽい声出してんじゃねぇよ」
「嘘じゃ…ないもん。ほんと…だってぇ…」
そのマッサージが終わって2人でリビングに戻ると、やたらソワソワしているソフィアさんとリオンさん、そして顔を赤くしているジークが居た。
その際に、リオンさんからこんなことを言われた。
『まぁ、うん…避妊はしたのかね?』
はて、なんの話だろうか。
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