文化祭終了……そして…

「では、我らが演劇が無事成功した事を祝して、かんぱーーい!!」


「「「「「かんぱーーい!!」」」」」


隼也の音頭によって、クラス全体がワイワイと騒がしくなる。教室の中で食べ物を持ち寄って食べる時は、もう夕焼けが完全に落ちて夜となっている。

その音頭が終わると、美味しそうにケーキを頬張っているアリスの頰を抓る。


「にゃにかにゃ?(なにかな?)」


「てんめえ…劇の最後…普通のキスなのに舌絡ませて来やがって…!お陰で俺の理性がどんだけ大変な思いしたと思ってんだ…!!」


俺はそうやって小声で怒鳴る。

終盤のラストシーンで舌を絡ませて来て、思わず性欲に駆り立てられた。あん時俺がどんだけ大変だったか思い知らせてやりたい。


「いやぁ、空とキスしたら…つい」


「ついじゃねぇよこの淫乱女…!!」


「なぁ!?私はそんなんじゃないもん!!空に対してだけ淫乱なんだもん!!」


「そんな下ネタ女が言うんじゃありません!!」


「空が先に言ったんでしょ!?」


軽い冗談の喧嘩に発展しそうになると、教室の扉がガラッ、と開かれると、紅蓮が俺に飛びついて来た。


「助けてくれぇえええ空あああ!!こいつマジでヤバイ!!本気でヤバイ!!」


「おぉ紅蓮、あの魔王相手に良く生きて帰って来たな」


「すげぇもんアイツ!!なんなの!?何度叩きのめしても笑顔が消えないんだけど!?」


すると、笑顔の悪魔、いやもはや魔王がご帰還する。


「よぉ空…ありがとな…こいつとタイマンやらしてくれて……」


だが流石のアキラ…じゃなかった。悪魔でももうへっとへとの様だった。


「別に良いぜ〜、こいつなら何度だってやっても良いから」


「正気か空!?」


だってアリスにナンパかけたし…それくらいは…ねぇ?


「この薄情者!!ネットにてめぇがこの学校にいるって暴露するぞこら!!」


「上等だやってみろよ!!その瞬間テメェのスター性が皆無になるだろうがな!!」


「あぁん!?ブランクありまくりのてめぇに負ける訳ねぇだろうが!」


「中学んときコテンパンに叩きのめして半べそかいてた野郎が良く言えるなぁコラ!」


とまぁ、いきなり紅蓮と喧嘩が始まってしまった訳だ。つかこいつ何時間も動いた後なのに元気すぎだろ。体力バケモンか?


「ぷぷっ、あははははは!!」


するといきなり、アリスが笑い始めた。その様子に少し唖然としながら、声をかける。


「だ、大丈夫かアリス。おかしくなったか?」


「ひっどー、別におかしくなってないよ。こんな楽しい学園生活、初めてだから笑っちゃっただけ」


「っ…」


そうか…中学の時のアリスは、地獄を見たんだった。こんな楽しい事なんて、初めての経験だったんだろう。


「良かったな…アリス」


「うん…!」


アリスは笑顔でそう返すのだった。


………

……


「ふぅ…」


トイレを済ませて手を洗い、ハンカチで手を拭き取りながら出る。

すると、薄暗い廊下の中で、とある人影を発見する。


「アリス?」


こんな場所で1人、何をやってるんだろうか。階段の方を降りて行き、俺はそれが気になり後を追っていった。

すると、階段の曲がり角で、俺は自分の耳を疑った。


「うん……分かった。帰るよ…アメリカ」





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