空君のチート時代
「んんっ!このお好み焼きって奴美味しいね!」
お好み焼きを幸せそうに頬張るアリスの姿は、小動物のリスを連想する。
「あぁそっか。アメリカにはお好み焼き無かったのか」
そういえばだがアリスは帰国子女だった。アメリカにはお好み焼きが無いんだろう。だったらこの文化祭で食うのが初めてか。
「へぇ、アリスってばアメリカ居たのか。俺行った事ねぇんだけどどんなとこだ?」
「うーんとね〜、まず食べ物がなんでも大きいし、日本みたいにお客様至上主義の店って見かけないかんじかな?」
「つか…なんで紅蓮が居るんだよ。テメェが居たら厄介になるから来るな!」
紅蓮はただでさえ有名人のハイスペック野郎だ。1時間で3回も紅蓮だけに向けられた逆ナンをされて、俺らは良い迷惑だ。しかも…アリスとのデートの邪魔なんだよ。
「え〜?良いじゃねぇかよ。久しぶりに会って蟠りも溶けた事だしよ〜」
「空気読めよ!アキラがテメェとタイマンしたがってたからやってこい!!」
「アキラ?アキラ…あぁ!あの目つきが悪い4番か!アイツすげぇよな。俺らみたいな天才じゃねぇのに、努力だけで俺とタイマン張れるレベルにまで来てる。正直、チームの総合力が悪いだけで、アイツの防御スキルは全国で五本の指に入るぜ?」
そう言って五本指を差し出す。その中の1つが紅蓮だろう。コイツマジモンの天才だから普通になんでも出来る。
「へぇ…アキラってそんなすげぇのか」
何気なく対戦していたが、やはり結構強かったらしい。
「因みに二強は俺とお前の2人」
「俺を含むな!!もう引退してんだから!」
「良いじゃねぇか〜、ほら、アリスも嬉しそうだぜ?」
まらで自分のことみたいに勝ち誇ったドヤ顔を向けてくるアリス。
「なぁ…なんでそんなドヤってんだ?」
「そりゃあ好きな人がそんなにべた褒めされたら嬉しいよ。というか、空ってそんな凄い選手だったんだ」
「そうだぞ〜、一度海外のプロ選手と混じって試合したことあったし、その時コイツ1人で5点決めやがったからな」
あぁ…あったな。フランスに行った時にプロチームに混ざってやらせてもらった。パス回しクソ早いしテクニックもスピードもパワーも、日本じゃ考えられないレベルにまであった。
「あったな…つか5点は決めてねぇよ盛りすぎだ。俺1人で決めたのは3点だ」
「あ、そっか。お前1人で5人くらいぶち抜いたのが3点で、後の2つフリーキックか」
そもそもプロ相手に1人で5点とか世界に名高いサッカー選手じゃないと不可能…もしくは人間に出来る芸当を超えてるんじゃないだろうか。少なくとも俺は出来ん。
「でもそれでも十分チート…」
紅蓮の声を遮る様にして、とある人物が言葉を出す。
「四宮紅蓮…見つけたぞ……」
おっ、やっと来たな
「は!?て、てめぇ…なんで…」
「うるせぇ。とっととタイマン張れやボケ」
「もうヤンキーの口調だな!?というか今日俺女の子引っ掛けようと思ってこの文化祭来たのになんでサッカーしなきゃいけないんだよ!!」
お前そんな最低な理由でこの文化祭来たのかよ。呆れるわ。そんな奴は
「あぁ?うるせぇよ。なんなら空でも良いぜ?」
「あ、悪いアキラ。俺これからデートだから」
そう言ってアリスの手を引いて紅蓮と悪魔から逃げる。数秒後、校舎裏の方から「いやぁぁああああああ!!」という悲鳴が聞こえたが、無視することにした。
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