初めての学校の反動

アリスと一緒に学校から家に帰る。いつものことだが、いつもと違うのは、その際会話が無かったこと。

いつもなら陽気に話しかけてくるアリスが、学校後半になってくると全く話しかけなくなった。

やがて俺も会話の話題のストックが切れ、会話が無くなった。

だけど、その時は突如始まった。家の鍵を開けてドアを開けて、玄関に入って再び家の鍵を閉めた時だった。


「ただい…っ!?」


強引に唇を奪われ、アリスが俺の体を舐め回すように抱き着き、紅葉した顔を向けてくる。


「空ぁ…ずっと我慢してだけど…今ならいいよね!?」


「おま…だから喋らなかったのかよ…」


「そうだよぉ〜、空と話したら体が疼いちゃって仕方ないからね〜。でも今なら問題ない。だって家帰ったら好きなようにしていいんでしょ?」


「……あぁ」


「ふふっ…」


いつもの天真爛漫なアリスとは打って変わり、妖艶な大人の魅力というやつを出しながら舌を絡めるキスを行うと、唾液が絡まり合う音が玄関中に響く。

一通りが終わると、アリスの方から口を離した。


「ごめん空、気持ち悪いよね……」


「何がだ?」


「私……空との言いつけは守るけど…家じゃこんなに空を求める女で…空に依存してる。だから迷惑かなって…」


その言葉に少しイラッと来た。そのあと俺は、体の全てが密着するように抱き着く。


「ふざけんな。迷惑だなんて感情一回も持ってねぇよ。俺を求める女?そんなん俺の理想だし、依存も同じだ。だからもっと俺に依存しろ。そんで、二度と離れないようにしちまえ。俺からお前を突き放すことなんてことは、未来永劫無いだろうからな」


アリスが悪い女だと思うなら、俺だって悪い男だ。アリスをどんどん俺に依存させようとしてるんだから。


「あぁ…そういえば前にも言ってたね。空に依存するって」


「そうだな。だけど今度は俺がお前に依存し始めてるから、本末転倒もいいところだ」


「ふふっ、空はどんどん私に依存しちゃって良いよ?だって私が怖いのって、空にとことん依存した後に捨てられちゃう事だから。ほら、考えただけで…体が…」


アリスの体は小刻みに震え、それを抑え込もうと必死になる。俺がアリスに依存すれば、自分は捨てられない。そう思っているんだろう。


「アリス、この際だからハッキリ言うぞ」


「…何?」


「俺はお前と結婚したい」


「にゃふっ!?」


いや、重いと思われるけど割と真剣に。


「け、けけっ、けけっ、結婚ですと!?」


「あぁ、ワリと結構考えるんだよ、お前と夫婦んなって歳をとっていって、お互いに一緒に死んだら…どれほど良い人生になるんだろうなってな」


それを想像すると心が温かくなり、自然と笑みが溢れる。するとアリスは、首がもげそうなくらいに頭を上下に動かす。


「うん!うんうんうん!!結婚する!する!よ空!!婚姻届貰ってくるね!あ、あぁでも婚姻届ってどこにあるのかな!?市役所!?」


「落ち着けって…」


さっきの少し暗かった雰囲気は、アリスの暴風雨によって掻き消されるのだった。

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